「それ闇バイトかも?」夏休み、ここに警戒!◆高校生がゲームで勧誘手口を追体験

子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりました。ただ、自由な時間と解放感は、特殊詐欺や強盗、薬物売買といった「闇バイト」とつながってしまう懸念もあります。近年、SNSを使った勧誘の手口は巧妙化し、「気を付けなさい」の一言だけでは防げないのが現状です。親子で警戒すべきポイントは?ゲームで勧誘の手口や危険性を学ぶ授業を取材しました。(時事ドットコム取材班 斉藤大) ◇生徒が全集中 夏休みを控えた7月中旬、神奈川県相模原市にある県立相模原城山高校。1年生の生徒たちは手元のスマートフォンやタブレット端末の画面を真剣な表情で見つめていた。「期末テストを受けた後なので、だらけてしまわないか心配したのですが…」。情報科の浅井雄大教諭(32)は、生徒の集中する様子に驚いた。 生徒たちがプレーしていたのは「レイの失踪」。ゲーム実況動画配信チームの一員であるレイからの連絡が途絶え、仲間がその消息を追う―というストーリーだ。いわゆる謎解きゲームで、プレーヤーは架空のSNSの投稿やメッセージのやり取り、求人サイトなどを探っていくことにより、レイが軽い気持ちで闇バイトの世界に足を踏み入れてしまった経緯を追体験する。 生徒に聞いてみると、「SNSの画面がリアルだったり、犯人の音声が聞こえたり、本当に闇バイトに巻き込まれているようだった」「ゲームの方が楽しいし、実感が湧く」など普段とは異なる授業に好意的な意見が多かった。 ◇疑似体験で「自分ごと」に 相模原城山高校は2024年度に文部科学省から「DXハイスクール」の指定を受け、授業や行事でデジタル技術導入を促進。25年度は生活指導の分野に取り組みを広げ、夏休み前の特別授業として「レイの失踪」を企画した。 ゲーミフィケーションと呼ばれる新たな学びの形に、「生徒が能動的に学べるのは大きい」と浅井教諭。ゲーム内では、不安や悩みを相談できる全国共通の警察ダイヤル「#9110」に電話を掛けるシーンもあり、「困った時の相談先として、きっと覚えてくれたはず」。 開発したのは、慶応大の学生が2023年4月に立ち上げたスタートアップ企業「クラスルームアドベンチャー」(東京)。そのインターンスタッフで大学3年の板生遥さん(20)は「大人が『闇バイトは怖いよ』と言ってもなかなか伝わらないが、疑似体験することで自分ごとにできる」と説明する。

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