北朝鮮IT技術者の「不正就労」に関与の米国人に有罪判決、300社以上が標的

米アリゾナ州に住む女が、北朝鮮のIT技術者が米国企業309社と海外企業2社に身元を偽って潜り込み、詐欺行為を行ったスキームに関与した容疑で有罪となり、懲役102カ月(8年半)の刑を言い渡された。彼女が昨年逮捕された後、検察はこの事件が同種のものの中で過去最大規模だと述べていた。このスキームを通じて、容疑者と北朝鮮は1700万ドル(約25億円。1ドル=148円換算)以上の不正な収益を得ていたとされる。 アリゾナ州リッチフィールドパーク在住のクリスティーナ・マリー・チャップマンは2月11日、電信詐欺共謀、加重ID盗取罪、マネーロンダリング(資金洗浄)の共謀について有罪を認めた。連邦地裁のランドルフ・D・モス判事は、彼女に対し懲役刑に加え、3年間の保護観察と北朝鮮に送金される予定だった約28万5000ドル(約4211万円)の没収および17万6850ドル(約2617万円)の罰金の支払いを命じた。 ■北朝鮮のIT労働者 裁判資料によれば、北朝鮮は世界各地に何千人もの熟練IT労働者を派遣し、他人の身分情報を使って米国企業のネットワークに潜入させ、兵器開発のための資金を得ていた。このスキームは、著名な大手を含む300社以上の米国企業を標的としたもので、米国の決済プラットフォームや求人サイトのアカウントが利用された。また、米国内からアクセスしているように見せかけるため米国内に設置した中継用コンピューター、米国人および企業が利用された(その一部は詐欺に加担していることに気付いていなかった)。 検察によれば、この詐欺は2020年初頭に始まり、北朝鮮のIT労働者のグループが米国企業にリモートでサービスを提供し始めていた。彼らは米国民の身分情報を盗んで米国のリモートワークの職に応募しており、その一部は、派遣会社を通じたものだった。また彼らは、米国内での仕事を得ると、企業の内部情報にアクセスしてデータや金銭を盗むだけでなく、数百万ドル(数億円)の報酬を受け取り、その報酬に関して虚偽の報告を合衆国内歳入庁(IRS)に行っていた。

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