賛否呼ぶ「刑法39条」…悲惨な事件が報道される度に問われる「刑事責任能力」とは

2025年6月1日より「懲役」と「禁錮」が廃止され、2025年6月1日より「拘禁刑」という新たな刑罰へ一本化されました。従来の「懲らしめ」重視の処遇から、受刑者の「立ち直り」を重視した指導へと転換を図るものです。 法は、自然科学のような不変の法則とは異なり、時代に応じて「解釈」を変え、あるいは新たに「立法」することで常に変化し続けています。 本記事では、法に関する身近な疑問をやさしく解説した入門書『はじめまして、法学 第3版』(中央大学法学部教授/遠藤研一郎・著)から一部を抜粋してお届け。今回のテーマは、刑法と責任の所在についてです。 ご存じのとおり、犯罪に関する基本法は、刑法です。明治40(1907)年に公布、翌年に施行されました。 刑法上では、さまざまな犯罪類型が規定されています。法的に保護しなければならない何らかの利益(法益)がある場合、この法益を侵害する行為を「犯罪」として禁止しているのです。 犯罪を大きく分けると、(1)個人の利益を侵害する犯罪、(2)社会・公共の利益を侵害する犯罪、(3)国家自体の利益を侵害する犯罪に分類することができます。 (1)個人の利益の侵害 殺人、傷害、過失致死傷、逮捕・監禁、不同意わいせつ、住居侵入、業務妨害、名誉毀損、強盗、窃盗、横領など (2)社会・公共の利益の侵害 騒乱、放火、往来妨害、通貨偽造、文書偽造、印章偽造、公然わいせつ、わいせつ物頒布、賭博など (3)国家自体の利益の侵害 内乱、公務執行妨害、逃走、犯人蔵匿、証拠隠滅、汚職など

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