尹前大統領夫人の出頭間近…特検、ブランド品、公認介入、株価操作疑惑の立証なるか

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史関連の疑惑を捜査するミン・ジュンギ特別検察官(特検)チームは、6日に予定されているキム女史の初取り調べを控え、各種の疑惑とキム女史のかかわりを立証することに注力している。ミョン・テギュン氏やコンジン法師の関わる国政壟断事件を中心に捜査に拍車をかけている中、ドイツモーターズ株価操作などキム女史をめぐる主要事件に対する「大統領室の捜査妨害」疑惑、大統領室と官邸工事疑惑まで、明らかにしなければならない課題も山積している。 特検チームはまず、キム女史が「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じて世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側から高価な金品を受け取り、2022年の大統領選挙の際、ミョン・テギュン氏から世論調査の結果を無償で提供を受け「国民の力」の公認に介入したうえ、ドイツモーターズの株価操作で私的利益を得たという3つの疑惑を大きく分けて捜査に進めている。 ■コンジン法師の請託、公認介入、株価操作に共通するのは 最近速度がついた捜査は、キム女史が旧統一教会側から高価なネックレスやバッグなどを受け取ったという「コンジン法師請託」疑惑。特検チームは先月30日、金品を渡した当事者である旧統一教会のY前本部長を拘束した。特検チームはネックレスやバッグの領収証を旧統一教会の本部から確保し、教団レベルでロビーを試みたかどうかまで捜査を拡大している。特検チームは、「国民の力」のクォン・ソンドン議員が旧統一教会側から億ウォン台の不法政治資金を受け取り、旧統一教会指導部の遠征ギャンブル事件の捜査機密を漏らした容疑も調べている。Y前本部長とチョン氏、クォン議員の関係性を調べることで、最終的に尹錫悦前大統領夫妻とのつながりを探るというのが特検チームの計画だ。 特検チームは、尹前大統領夫妻の公認介入疑惑と関連しては、主な陳述を確保した。2022年6月の国会議員再補欠選挙当時、「国民の力」の公認管理委員長だったユン・サンヒョン議員から「尹前大統領からキム・ヨンソン前議員の公認に関する電話を受けた」という陳述を確保したのだ。尹前大統領夫妻が公認管理委員会に影響力を行使しようとしたという直接的なつながりが確認されたわけだ。特検チームは、公認介入疑惑の取り調べを拒否している尹前大統領の逮捕状も再執行する計画だ。 キム女史の株価操作疑惑の中心人物である投資顧問会社「ブラックパールインベストメント」のイ・ジョンホ前代表は、株価操作の「主砲(特定の株価を引き上げる仕掛け人)」であるL容疑者にキム女史との親交を前面に出し、執行猶予にすると約束した疑惑(弁護士法違反)で拘束令状が請求され、5日に令状実質審査が行われる。特検チームは、イ前代表が拘束されれば、2020年9月に株価操作疑惑の捜査が本格化した後、キム女史側と通話した経緯などを集中的に追及する計画だ。 ■捜査もみ消し、官邸移転疑惑も明らかにするか 主要捜査のポイントである公認介入と株価操作事件は、捜査もみ消し疑惑と緊密につながっており、キム女史とキム・ジュヒョン前大統領室民情首席、シム・ウジョン前検察総長間の盗聴防止機能付き電話(秘話フォン)の経緯についても、捜査が避けられないものとみられる。尹前大統領の在任時代、キム女史には盗聴防止機能付き電話が支給され、大統領や大統領室付属室長、随行室長、警護処長とともに、すべての保有者と通話できるAグループに含まれていた事実が明らかになった。キム女史はこの電話で昨年7月3日にキム前大統領室民情首席と2回にわたり33分間通話した。当時は、ソウル中央地検捜査チームがキム女史側と取り調べの方法などを調整していた敏感な時期であり、昨年7月20日、ソウル中央地検捜査チームはソウル昌成洞(チャンソンドン)の大統領警護処の付属建物を訪れ、キム女史の取り調べを実行した。キム前首席とシム前総長は昨年10月10~11日、盗聴防止機能付き電話で24分間通話したが、当時はミョン氏が「(検察が)私を逮捕したら1カ月で大統領が弾劾されるはずだが、大丈夫なのか」と脅しをかけた時期だった。大統領夫人としては異例にも盗聴防止機能付き電話を提供され、最上位グループの高官らと自由に通話することができたキム女史の通話内訳は、捜査もみ消し・隠蔽疑惑捜査のポイントになりうる。「(海兵隊員)C上等兵殉職事件捜査における外圧疑惑」を捜査中のイ・ミョンヒョン特検チームは、処罰を免れるためのイム・ソングン前海兵隊第1師団長のロビー活動と関連し、キム女史の電話機を確保して捜査を続けており、ミン・ジュンギ特検チームも押収捜索令状を執行する形でこれを確保し、捜査もみ消し疑惑を調べている。 特検チームはこの他にも、キム女史の側近であり執事として知られるK氏が、キム女史との親交を理由に企業の投資を受けて不当な利益を得たといういわゆる「執事ゲート」事件、キム女史一家が京畿道楊平郡(ヤンピョングン)の公興(コンフン)地区の開発過程で恩恵を受けたという疑惑などを同時多発的に捜査し、各事件でのキム女史の役割を明らかにすることに捜査力を集中させている。特検チームは最近、キム女史の兄の義母の自宅を家宅捜索し、海外歴訪の際に着用して財産未申告が問題になった「ヴァンクリーフ&アペル」のネックレスなど高価な金品と現金束などを発見し、追加の疑惑も調べている。 物議を醸した大統領官邸と執務室の工事などに関する疑惑も特検チームの捜査対象だ。ハンギョレは、現代建設が大統領警護処が発注した官邸工事を他の業者に依頼し「他の現場の仕事で費用を処理する」としたり、警護処が現金工事を要求するなど違法な提案をした事実を報道した。大統領室や官邸の移転が拙速に行われたことで浮上した現代建設の工事費無償・代納疑惑などについても、特検チームが工事全般を調べ、見返りがあったかどうかを判断する見通しだ。 「キム・ゴンヒ特検法」が規定した捜査範囲は、細かくは16種類にものぼるほど広範囲に渡る。いわゆる「執事ゲート」は捜査の過程で見つかった事案だが、「執事」のK氏は特検の出頭通知にもかかわらず海外に留まっており、三扶土建の株価操作疑惑で拘束令状が請求されたイ・ギフン三扶土建副会長は令状実質審査を控えて逃走した。特検チームの捜査が順調に進んでいるとは言い難い状況だ。元検事長のある法曹人は「捜査範囲が膨大なほど確実な事案に集中する必要があるが、キム・ゴンヒ特検は捜査を広げている印象を受ける」とし、「事件をまとめながら進める必要がある」と語った。 キム・ガユン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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