斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を追及していた竹内英明元県議(当時50歳)が今年1月に死亡したことを巡り、竹内氏の妻らは8日、政治団体「NHK党」党首の立花孝志氏(57)を竹内氏に対する名誉毀損(きそん)容疑で刑事告訴し、県警に受理されたと明らかにした。県警は立花氏に刑事責任を問えるか捜査を進める。 神戸市内で記者会見した竹内氏の妻は、竹内氏が交流サイト(SNS)などで激しい中傷を受け、精神的に追い詰められて自ら命を絶ったとし、立花氏の根拠のない数々の発言がこうした事態を招いたと訴えた。告訴状は2通あり、6月13日と30日にそれぞれ受理されたという。 竹内氏は斎藤氏のパワハラ疑惑などを究明する県議会調査特別委員会(百条委)の委員を務めていた。斎藤氏の失職に伴う出直し知事選(2024年11月)で、疑惑を告発する文書作成に関わったと立花氏に名指しされ、「ありもしないうわさ話を作った」などと指摘されていた。立花氏は斎藤氏の再選を支援する「2馬力選挙」の目的で立候補していた。 竹内氏は出直し選の直後に県議を辞職。しかし妻らによると、その後も立花氏は竹内氏に対する根拠のない発言を街頭や動画投稿サイトで繰り返したという。 告訴状などによると、立花氏は24年12月13日、立候補していた大阪府泉大津市長選の街頭演説で「何も言わずに去っていった竹内県議はめっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは間違いない」などと発言。動画投稿サイトでもライブ配信し、竹内氏の名誉を毀損したとしている。 さらに竹内氏が亡くなった翌日の25年1月19日には、X(ツイッター)や動画投稿サイトで「(県警が竹内氏を)明日逮捕する予定だった」などと、虚偽情報を発信。死亡した後も竹内氏の名誉を傷つけたとされる。 立花氏による「捜査情報」に関し、県警は当時の本部長自らが全面否定する異例の対応を取った。県議会の場で「竹内氏を任意で調べたこともなく、逮捕する予定もない」と明らかにし、立花氏は発信内容が間違いだったと認めた。 竹内氏の妻や代理人弁護士によると、出直し選での立花氏の発言以降、竹内氏の事務所に嫌がらせの電話やメールなどが複数寄せられるようになった。SNSでも多くの批判的なコメントが投稿され、竹内氏は妻に「犯罪者扱いされている」と不安を訴えるようになった。24年12月下旬に「うつ状態」と診断され、症状が悪化していたという。【柴山雄太、山田麻未】