兵庫県の内部告発文書問題にからみ、1月に死去した竹内英明・元県議(当時50)の妻(50)が神戸市内で記者会見した。政治団体「NHK党」党首の立花孝志氏を名誉毀損(きそん)容疑で県警に刑事告訴し、受理されたという。 「夫の尊厳を守りたい。それは自分の尊厳を守ることでもあるからです。夫は死んでも、遺族の心の中にあり続けています。そう思い、声を上げることを決めました」 8日に会見した竹内氏の妻は、涙で言葉を詰まらせながら思いを語った。 ■「負けた」「逃げた」と自分を責めた 竹内氏は昨年の今ごろ、百条委の委員として、寝る間を惜しんで調査に取り組み、県民のために仕事をすることが自分の存在意義だと話していたという。 誹謗(ひぼう)中傷が激しくなったのは、昨年11月に立花氏から「黒幕」と名指しされてからだと振り返った。 「夫は黒幕ではなく、誰かをおとしめてもいない。逮捕される予定だったということもない」 「目に見える傷ではないが、心を傷つけられ、癒える間もなく次の攻撃が襲ってくる。夫はそうやって、希望も生きる力も失いました」 辞職を選んだ竹内氏は、自宅にこもり、それまでの人間関係も途切れた。 「負けた」「逃げた」。そう嘆いて自分を責めていたという。 今年1月に竹内氏が自死したあと、夫がもう帰らないと確認しては、打ちのめされる日々が続いた。だが、「夫の代わりに声を上げられるのは私しかいない」と刑事告訴を決めた。 表に出ることで批判にさらされ、攻撃されるのではという恐怖は、今もある。デマで人をおとしめることについて「悪質さを私たちはもっと深刻に受け止めなければならない」と訴えた。(原野百々恵)