来日ベトナム人の犯罪誘発する「ボドイ」 失踪技能実習生が頼るFBコミュニティーの闇

昨年刑法犯で摘発された来日外国人のうち国籍別の最多はベトナム。中でも侵入窃盗事件では、約8割をベトナム国籍が占めていた。多発の一因に挙げられるのはSNS。大阪府警が摘発したバッテリー盗事件では、フェイスブックの「ボドイ」と呼ばれるベトナム語のコミュニティーが、犯罪ツールとなっていたことが判明した。異国での生活を同胞同士で支え合うSNSがベトナム版「闇バイト」の温床となる背景には、技能実習制度の問題もある。 ■ベトナム戦争の「兵士」になぞらえ 「バッテリーの仕事」。大阪府警に窃盗容疑で逮捕された元技能実習生の男(27)は、フェイスブックにベトナム語で投稿された文章に目をとめた。 府警は6月、大阪府内や愛知県内などで電動自転車のバッテリーを繰り返し盗んだとして、この男らベトナム国籍の3人を逮捕・送検し、112点(総額300万円相当)の被害を裏付けたと発表した。府警の捜査により、男が犯罪に加担した経緯が詳細に明らかになった。 捜査関係者によると、男は約6年前、「日本で稼ぎたい」と技能実習生として来日。関東の工場で働き始めたが、月収は10万円前後。給与面の不満もあって実習先から姿を消し、不法滞在の状態となった。 それでも、母国の家族へ仕送りをしなければならない。頼ったのがフェイスブックの「ボドイ」コミュニティーだった。 ボドイはベトナム語で「部隊」や「兵士」を意味する。不法滞在状態となった元技能実習生を、ベトナム戦争でジャングルを逃げ回ってゲリラ戦を展開した兵士になぞらえ、その呼び名を使い始めたとされる。 男はこのコミュニティーで働き先を見つけて糊口をしのぎ、今年2月からは、大阪市西成区の集合住宅で同胞6人とルームシェアを開始。そして、同居先で知り合った同じ境遇のベトナム人ら2人とともにバッテリー盗に手を出した。 ボドイで「バッテリーの仕事」との投稿を見つけ、メッセージを送信。その後、個別チャットやテレビ電話でベトナム人の男とやり取りし、「バッテリーを盗め」「1本2千円で買い取り」などと指示を受け、犯行に及んだという。 ■「関わったらダメな人たち」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加