12・12軍事反乱で新軍部に抗して戦死した故キム・オラン中佐の遺族に対する損害賠償を国に命じる、との裁判所の判断が下された。 ソウル中央地裁民事911単独のユ・チャンフン部長判事は12日、キム中佐の実姉のKさんら10人の遺族が国を相手取って起こした5億ウォンあまりの損害賠償を求める訴訟で、原告勝訴の判決を下したと発表した。ユ部長判事は、原告10人に対する総額3億ウォンあまりの支払いを国に命じる判決を下した。キム中佐の実姉のKさんは5769万ウォンあまり、おいのKさんら2人には各4038万ウォンあまりなど、賠償金額は各遺族で異なっている。 1979年の12・12軍事反乱当時、陸軍でチョン・ビョンジュ特戦司令官の秘書室長を務めていたキム中佐は、軍事反乱に加担した第3空輸旅団が特戦司令部を不法占拠するために襲撃してきた際、チョン司令官を守るために1人で銃撃戦を繰り広げた。キム中佐は反乱軍にM16小銃で数発撃たれて死亡。35歳だった。 新軍部は「キム中佐の方から先に戒厳軍を射撃してきた」と主張してキム中佐の死を「殉職」と処理し、彼の遺体を特戦司令部の裏山に埋めた。キム中佐の母親は息子の死を苦にして2年後に死亡。妻のペク・ヨンオクさんも夫の死に衝撃を受けて失明し、1991年6月に遺体で発見された。 キム中佐の名誉は、遺族や同期生などの努力で徐々に回復してきた。特戦司の裏山に埋められて放置されていた彼の遺体は、同期生たちの助力によって国立墓地に改葬された。彼の死は43年後の2022年に「殉職」から「戦死」へと変更された。軍の人事法は、「殉職者」は職務の遂行中に死亡した者、「戦死者」は敵との交戦や武装暴動および反乱などを防止するための行為で死亡した者と規定する。2022年9月、軍死亡事故真相究明委員会は「キム中佐は、特戦司令官を違法に逮捕しようとした反乱軍に抗して銃撃を受けて死亡した」と発表。キム中佐は、2023年11月に公開された映画「ソウルの春」で俳優のチョン・ヘインさんが演じたオ・ジンホ少佐のモデル。 ユ部長判事は「キム中佐は大韓民国の憲政秩序を破壊、蹂躙(じゅうりん)した反乱軍の不法行為に抵抗して死亡した。国は遺族の被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う責任がある」として、「キム中佐の死後、反乱軍および関係する公務員が犯したキム中佐の死の経緯についての実体的な真実の操作について、国は遺族の被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う責任がある」と判断した。 ユ部長判事は慰謝料の金額について、「大韓民国の憲政秩序を破壊、蹂躙した反乱軍の不法行為に抵抗して死亡したキム中佐の崇高な犠牲にふさわしい礼遇は、遺族にも付与される必要がある」として、「キム中佐の母親は息子の死による衝撃で2年あまりで死亡しており、キム中佐の兄と姉も長きにわたって精神的苦痛の中で死の経緯を糾明するために刻苦の努力をしてきたこと、死の経緯に対する実体的操作まであった事案であり、国の責任も重いことなどを考慮した」と語った。 ユ部長判事は、2022年9月の真実究明が決定された日を基準とすると消滅時効は完成されていないして、国の消滅時効主張を認めなかった。 イ・ナヨン記者 (お問い合わせ [email protected] )