東京都・台東区の『浅草地下街』にある雑貨店で乾燥大麻を販売目的で所持したとして警視庁は8月14日、店の経営者である荒川岳大(27)と妻の季美(31)を大麻取締法違反(営利目的所持)の容疑で逮捕したと発表した。 2人は昨年6月、経営している雑貨店『PAPIZONDON』で大麻を0.65グラム所持していた疑い。「店で大麻のようなものを売っている」との情報提供があり、警視庁の調査により、大麻成分入りのクッキー約50個、乾燥大麻や大麻成分が付着した計量器や吸引器具が見つかった。さらに足立区の自宅からも約250グラムの大麻が見つかっている。荒川岳大容疑者は容疑を否認し、季美容疑者は黙秘をしているという。警視庁は、2人が店で大麻を販売し、客に吸わせていたとみている。 現存する日本最古の地下商店街といわれている浅草地下街は1955年に開業した昭和の遺構の一つだ。近年では、レトロな雰囲気が人気となり、観光スポットとして地元民以外にも人気のエリアとなっている。また、映画『PERFECT DAYS』のロケ地としても使用され、ファンたちによる聖地巡礼も行われているなど、70年間さまざまな人に愛されてきた場所だ。 逮捕された夫妻が経営していた雑貨店『PAPIZONDON』は、Instagramでは「浅草underground district 音楽と本を楽しむ地下の秘密基地」と記載され、居酒屋・バーとしても営業していたようだ。店のホームページの商品欄には書籍や古着といったものの他に、喫煙具もあり、ブランツ・ペーパーと呼ばれる紙巻きたばこを作る際に使われる、たばこ葉にフレーバーをつけて乾燥させたペーパーが販売されていた。 ◆現場で聞いた店の〝評判〟 実際に店を訪れると、壁に施されていた、浅草を「麻草」と表記したペイントがアングラな雰囲気を醸し出している。店前のショーケースの中には大麻と思しき草の写真と鳥居と眼をコラージュした画が飾られているなど、初めて訪れた人にはちょっと近寄りがたい店だ。 一連のニュースを見て、現地にやってきたという地元住民の男性は「雰囲気がヤバそうですね」と、店の佇まいに少し引いている様子だった。 「地元だったので、ネットで調べてここにきました。新宿や渋谷ならわかりますが、浅草の観光地でこうした事件が起きるとは思いもよらなかったです。地下街には久しぶりに来ましたが、キレイとはいえませんし、水漏れがあったりで衛生的ではないですよね。ここ自体がアングラな雰囲気だし、そんな場所でこんな感じの店なので『予想通り』って感想です」 地下街で同じように飲食店を経営している人たちに聞くと、店では大麻を使用している様子はなく、普通の雑貨・飲食店だったという。 「大麻の匂いはわかりませんが、大麻を吸っているなんて話は聞いたことがない。逮捕された荒川さんも、様子がおかしいとか、変な人ってことはなかったし、営業中のトラブルもなかったです。店の雰囲気は『怪しい』感じなので、それを売りにしていると想像していましたが、まさか本当に逮捕されるとは思わなかったです」 地下街を度々訪れる人も、「まさか」といった驚きの声が多く、大麻の気配は感じなかったようだ。また、地下街で居酒屋を営んでいる男性は、昨年行われた警察の捜査を目撃したと話す。 「昨年の6月ごろの話ですが、20人くらいの警察官がガサ入れに来ていたので、驚きました。その場で見ていましたが、結局逮捕はされませんでした。そのときは同じ場所で商売をしている身からすると、大麻をやってなくて『安心』って気持ちがありました。荒川さんは人当たりのいい男性で、普通の人ですよ。営業中も営業終わりも、おかしい様子は見たことがなかったです」 日本最古の地下街で発覚した大麻事件。同じ地下街の商店の人たちは「そんな気配はなかった」と口を揃えて証言した。その一方で事件が発覚する以前から、SNSでは店頭の「麻草」の写真が投稿されたり、《浅草のあそこ 一番奥の方(注・荒川容疑者の店があるあたり)めちゃくちゃ大麻臭かった》という書き込みもあるなど、一部では話題になっていたようだ。当然、大麻に興味がある人たちはあちこちから足を運んだのではないだろうか。 怪しかったのは店構えから受ける印象だけではなかったようだ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:白紙緑