「自由」を建国の理念とするアメリカで、言論への締め付けが強まっています。イスラエルのガザ侵攻に反対の声を挙げ、拘束された学生が「自由の国」の危うい空気に警鐘を鳴らしました。 ■批判を封殺するトランプ政権 揺らぐ「自由の国」 「自由」を建国の理念に掲げるアメリカ。その国の大統領が、政権に異議を唱える人たちをこう呼んだ。 トランプ大統領(今年6月 ロサンゼルスの移民摘発抗議デモに対し) 「我々はアメリカの都市が、“外国の敵”に侵略され、征服されることは許さない。彼らは、“動物”だ」 各地の大学で広がった、イスラエルのガザ侵攻に反対するデモ。アメリカ政府がイスラエルを支援していることなどに抗議の声が上がった。 トランプ大統領は、反ユダヤ主義的な行動をした留学生を強制送還することを可能にする大統領令に署名した。 トランプ大統領の投稿(今年3月) 「扇動者は投獄されるか、出身国に永久に送還される」 コロンビア大学のデモを率いた学生の自宅に現れたのは、国土安全保障省の職員。 国土安全保障省の職員 「君を逮捕する。後ろを向いて、抵抗するな」 拘束は104日間に及んだ。 ある留学生は知らぬ間にビザが取り消され、収容施設に連れていかれた。45日間拘束された。大学の新聞にイスラエルへの投資に反対する記事を書いたからだった。 ■「トランプ大統領や閣僚を恐れない」拘束された難民キャンプ生まれの学生 モーセン・マフダウィさん(34)。デモに参加し、拘束された学生の一人だ。リスクもある中、今回インタビューに応じてくれた。 生まれはパレスチナの難民キャンプ。ガザで暮らす親族もいる。 アメリカに渡ったのは11年前。自由のない抑圧された環境を脱したいと、必死で勉学に励み、アメリカで学ぶチャンスをつかんだ。 ところが今年4月、突然拘束された。待ち望んできた市民権を得るための宣誓書にサインした直後だった。 モーセン・マフダウィさん 「国土安全保障省の職員が入ってきて、『逮捕します』と言った。その時、全く正反対の2つの思いを、同時に抱いていた。市民権を得られるかもしれないという期待と、もう何の権利もないという絶望。当局の説明は非常に曖昧だった。彼らは、私がアメリカの外交政策の脅威だと言った」