湖東記念病院事件 無罪確定西山さんに滋賀県警本部長謝罪「言葉で表せぬ心労おかけした」

滋賀県東近江市の湖東記念病院で平成15年に入院患者が死亡し、殺人罪で服役後に再審無罪が確定した元看護助手、西山美香さん(45)と滋賀県警の池内久晃(ひさあき)本部長が今月7日、同県彦根市の県湖東合同庁舎で面会し、池内本部長が終始立ったまま、深く頭を下げて謝罪した。県警が西山さんに直接謝罪したのは初めてだった。面会を詳報する。 西山さんが違法な捜査と起訴で損害を被ったとして国と県に損害賠償を求めた裁判で、先月17日、大津地裁は県に約3100万円の支払いを命じた。県は控訴を断念。井戸謙一弁護団長によると、今月1日に県から賠償金の振り込みがあり、4日に県警から「謝罪したい」と連絡があったという。 ■頭下げ、10秒間 面会には井戸弁護団長のほか西山さんの父、輝男さん(83)、母の令子さん(75)も同席。4人を前に池内本部長は「西山美香さん、ご両親には逮捕から今日に至る21年余りの長きにわたり、言葉では言い表せないほどのご心労、ご負担をおかけし、大変申し訳ございませんでした」と述べ、約10秒間頭を下げた。続けて、「今後の捜査活動において今回のようなことがないよう、より一層緻密かつ適正な捜査に取り組んでいきます。大変申し訳ございませんでした」と再び頭を下げた。 謝罪を受け、西山さんは自分の取り調べを担当した警察官が国賠訴訟の証人尋問で述べた内容について質問。「裁判所の中で噓をついたと思っているが、どう思っておられますか」との問いに、池内本部長は「今回の裁判の判決で指摘された事項については重く受け止めており、真摯(しんし)に反省している。滋賀県警察を代表して大変申し訳なく思っている」とだけ述べ、具体的な言及は避けた。 ■同じ文言繰り返す 父親の輝男さんも取り調べを担当した警察官について「ちょっと理解できないところがたくさんありました」と疑問を投げかけた。これに対し、池内本部長は「今回の判決で指摘されている事項については重く受け止め真摯に反省をする。判決の内容を踏まえ、今後、より一層緻密かつ適正な捜査に努力していきたい」と繰り返した。 母親の令子さんも取り調べを担当した警察官について言及。「捜査した刑事さんがここへ来て謝ってくれれば一番いいが、残念でたまらない。なぜ、本部長だけで済ませているのか残念でたまらない」

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