ノルド・ストリーム爆破、ウクライナ人を関与の疑いでイタリアで拘束 ドイツ検察が発表

ロシアからドイツにガスを送る海底パイプライン「ノルド・ストリーム」が2022年9月に爆破された事件で、ドイツ検察は21日、事件に関与した疑いがあるとしてウクライナ国籍の男性をイタリアで拘束したと発表した。 この男性は、「セルヒイ・K」という呼び名がつけられている。ドイツ検察によると、イタリア・リミニ県で身柄を拘束された。2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから数カ月後に、バルト海底を経由してロシア産天然ガスをドイツへ送るガスパイプライン「ノルド・ストリーム1」と「ノルド・ストリーム2」に爆発物を仕掛けたグループのメンバーだとされる。 この爆発により、欧州指導者たちがウクライナ侵攻を受けたエネルギー危機に直面する中で、欧州諸国にとって重要な天然ガスの供給源が断たれた。 犯行を認めた者はおらず、ウクライナも関与を否定している。 今回の男性は、イタリア北部海岸のリゾート地ミサノ・アドリアティコに駐留するイタリア軍警察「カラビニエリ」によって拘束された。ノルド・ストリーム爆破作戦の首謀者の1人とみられている。 検察によると、男性は、チャーターしたヨットでドイツ北東部のロストック港からデンマーク領ボーンホルム島近くのバルト海域へ航行した集団の一員だったとみられるという。 当時、ノルド・ストリーム2は未稼働だったが、ノルド・ストリーム1の2本のパイプラインは、ロシア沿岸からドイツ北東部まで約1200キロメートルにわたり、ガスを安定供給していた。 ロシアがウクライナ全面侵攻を開始する前、ドイツはノルド・ストリーム2の承認手続きを停止した。その数か月後、ロシアはノルド・ストリーム1の供給を止めた。ノルド・ストリーム2は、ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムが100%所有している。 そして、2022年9月26日に、バルト海で複数の爆発が確認され、パイプライン4本のうち3本が破壊された。 謎に包まれた妨害工作の実行犯をめぐり、西側諸国はロシアに疑いの目を向けた。ロシア政府はアメリカとイギリスを非難した。 ドイツでは昨年、ウクライナのダイバー集団がヨットを借りてバルト海へ出航し、パイプラインを攻撃した可能性があると報じられていた。 ドイツ検察は昨年8月、「ウォロディミル・Z」という呼び名のダイバーに対する逮捕状を発行している。 検察は21日、イタリア・リミニ県で拘束された容疑者の身柄がドイツへ引き渡されたら、出廷させるつもりだとした。 ウクライナ人男性については、「共謀して爆発を引き起こし、憲法を脅かす破壊工作を行った強い疑いがある」と、検察は説明している。 現時点では、ウクライナやロシア、そのほかの国家がこの攻撃に関与したという証拠は確認されていない。 (英語記事 Ukrainian held in Italy over Nord Stream gas pipelines blast mystery)

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