実家は売春宿、ホステスを殺して15年逃亡…「松山ホステス殺害事件」福田和子の壮絶人生(1982年の事件)

同僚のホステスを殺害して15年逃亡…かつて世間をにぎわせ、ドラマ化もされた「松山ホステス殺害事件」。犯人の福田和子(享年57)はどんな人生を生き、なぜ人を殺さなければいけなかったのか? ノンフィクション作家の八木澤高明氏の新刊『 殺め家 』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む) ◆◆◆ 「崩れそうな家が建っているって話だよ、親から行くなって言われた場所だから、行ったことがないんだよ」 松山ホステス殺人事件の犯人で、時効の3週間前に逮捕された福田和子。2009年、彼女が中学生時代に暮らしていた愛媛県今治市にあるハーモニカ横丁の場所を地元の男性に尋ねると、そんな答えが返ってきた。 何人かに聞き取りをしながら、何とかハーモニカ横丁を探し出すと、ただ崩れそうな家はなく、屋根付きの車庫がいくつか並んでいるだけだった。それを道路の反対側から眺めると、なるほどハーモニカのように見えなくもない。ただ、ハーモニカのように優しい音色を奏でるわけでもなく、福田和子の母親は、この場所で飲み屋を経営し、ホステスに自宅で売春をさせていたのだった。当時小学生だった彼女は、男と女の生々しい営みを目に焼き付けて育った。

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