エルサルバドル、ギャング対策の校則導入 「公教育の軍事化」と批判も

【AFP=時事】中米エルサルバドルの公立学校は1日、新しい校則の運用を開始した。この新たな校内規律では、生徒に「お願いします」や「ありがとう」と言うこと、そして「適切」な髪型に整えるよう求めている。同国の強権的なナジブ・ブケレ大統領による「ギャング対策」を学校にも取り入れた形だ。 新たに教育相に就任した軍出身のカルラ・トリゲロス氏によって導入された校則では、生徒が教室に入る際に教師に挨拶し、何かを頼むときには「お願いします」と言い、感謝の意を表すことが求められている。 また、靴を磨き、制服は清潔でなければならず、男子生徒は髪を短く保つことも求められる。しゃれた髪型やその他の装飾は許されない。 教育現場では賛否両論ある。生徒と教師の両方にとって「非常に良い」という声がある一方で、「公教育の軍事化」と批判的な意見もある。 この校則では、違反した生徒を落第させる可能性にも言及されているが、現行のルールにはそぐわないとの指摘もある。しかし、トリゲロス教育省は、校則に従わない場合、校長が処罰されると警告している。 事実、首都サンサルバドルの高校では先週、過去の動画に映っていたとして校長と副校長が解雇された。動画では生徒がギャングのハンドサインをしている様子が映っており、ブケレ大統領がX(旧ツイッター)で共有した。 政治評論家は、ブケレ氏が軍出身者を閣僚に任命するのは「権威主義のもう一つの兆候」と指摘する。「政府はすべてをコントロールしたがっており、誰も逸脱したり目立ったりすることを望んでいない」と説明した。 ブケレ氏のギャング対策への強硬姿勢は、世界的に人気を集めており、トランプ米大統領にとっては中南米の「模範」とも評価されている。 しかし、2022年以降、ギャングメンバーであるとの疑いだけで数万人の男性が逮捕され、起訴されずに拘束されていることから、重大な人権侵害の懸念も指摘されている。【翻訳編集】 AFPBB News

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