岸和田市の官製談合 背景に“ぎりぎりの価格帯”での受注競争か

大阪府岸和田市発注の公共工事を巡る官製談合事件で、最低制限価格の漏えい疑惑がある工事の入札が実施された2021年5月に、市では5件の入札があり、うち4件では一部の業者が最低制限価格を下回る金額を提示して失格になっていた。業者同士がぎりぎりの価格帯で受注競争をしていたとみられ、前岸和田市長の永野耕平容疑者(47)による漏えいにつながった可能性もある。 事件では、21年5月に実施された市発注の公共工事の競争入札前に、業者に最低制限価格を教えて工事を落札させたとして、永野前市長が官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで大阪地検特捜部に逮捕された。 最低制限価格は業者の健全な経営や工事の質確保のために設定され、それ以下の価格だと失格になる。 市によると、21年5月は5件の入札があり、落札額(税抜き)が最も高かったのは競輪場施設整備工事の約3億4750万円だった。5件のうち2件の落札額は最低制限価格と同額で、他の3件の落札額も最低制限価格との差が2000~1万3000円しかなかった。4件では、一部の業者が最低制限価格を下回って失格になり、入札業者の半数以上が最低制限価格未満で失格になった入札もあった。 市は最低制限価格の設定基準を公開しており、ある程度の予測は可能という。ただ、「入札参加業者が多ければ最低制限価格付近でしのぎを削る。最低制限価格が漏れてしまえば公正な競争がなくなる」(担当課)と話す。佐野英利市長は5日、報道各社の取材に応じ、「入札の制度、契約のあり方について、しっかり調査して、場合によっては有識者の意見を聞きながら透明性ある市政運営に取り組みたい」と述べた。【飯塚りりん、中村宰和】

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