ロブ・キャメロン・プラハ特派員 チェコで7日、公道でフォーミュラ1（F1）仕様のレーシングカーを運転していたとされる人物が逮捕された。この車両は2019年以降、何度も高速道路で目撃されており、警察が行方を追っていた。 警察はこの日、最新の目撃情報を受けて、フェラーリのカラーリングで装飾された赤いレーシングカーを追跡。プラハの南西約60キロに位置するブク村の民家にたどり着いた。 7日朝には、この特徴的な車両が高速道路D4号線を走行し、給油のために停車する様子を捉えた映像が浮上した。 運転していたのは51歳の男で、自宅で逮捕された。男は一時、車両から降りることを拒否したが、その後、身柄を拘束された。 地元メディアが撮影した映像には、男が自宅のガレージ前で車に座ったまま警察官と口論し、「ここは私有地だ。侵入している」などと主張する様子が映っていた。 最終的に男は、警察署での事情聴取に応じることに同意したが、その際も赤いレーシングスーツとヘルメットを着用したままだった。 その後の報道によると、男は警察署での取り調べで、一切の質問に答えることを拒否したという。 この男の息子とされる人物が地元メディアに語ったところによると、自宅は数十台のパトカーと1機のヘリコプターに包囲されたという。息子はこれを、「我々の交通違反とされる行為」への対応としては過剰だと非難した。 息子はまた、「警察は、数分前に高速道路を猛スピードで走行していたF1カーを、我々が牽引（けんいん）していたのを目撃したと主張している。もちろん、そんなことはまったく知らない」と述べた。 警察がこの「幻のF1ドライバー」と初めて接触したのは2019年で、当時、高速道路を走行する車両の画像や映像がインターネット上に出回り始めていた。 警察は車両を突き止め、所有者に事情を聴いたが、所有者は高速道路で運転したことを否定した。この人物が今回逮捕された男と同一人物かどうかは明らかになっていない。 映像や写真では運転者がヘルメットを着用していたため、身元の特定はできず、警察はそれ以上の捜査を進めることができなかった。 この車両は「フェラーリのフォーミュラ1カー」とたびたび言われてきたが、チェコの自動車情報サイト「auto.cz」によると、実際にはイタリアのダラーラ社がGP2シリーズ向けに開発した「ダラーラGP2/08」だという。GP2シリーズは後に、「FIAフォーミュラ2選手権」となっている。 車両の正確な出自にかかわらず、所有者は現在、ヘッドライトと方向指示器（ウィンカー）、ナンバープレートのない車両を高速道路で運転したとして罰金を科される可能性がある。また、運転免許の停止処分を受ける可能性もある。 （英語記事 Czech police finally catch up with 'phantom racing car driver'）