昨年は大麻不祥事も…2年ぶり全国出場の福山大、“ガチンコサッカーはラストシーズン”背番号10廣戸蒼大が2発

[9.3 総理大臣杯1回戦 桐蔭横浜大4-2福山大 いわぎんスタジアムB] FW廣戸蒼大(4年=大社高)の2得点で前半を2点リードで折り返した福山大(中国2)だが、後半に4失点して初戦敗退となった。 2得点よりも2度の逸機を悔やんだ。前半34分に鮮やかな左足ミドルで先制点を決めた廣戸は、前半終了間際にもFW山田瑛人(2年=福知山成美高)のスルーパスで抜け出して追加点を決める。 しかし前半37分のFKの場面で山田の折り返しを浮き球で押し込んだ場面は、ライン上で相手MF永井大士(4年=聖和学園高)にかき出されてしまう。さらに後半17分にはDF松島朝日(3年=飯塚高)のアーリークロスに走り込んで決定機を作るが、シュートを枠上に外してしまった。 ゴールシーンについては「2点目のような形はよくあるんですけど、1点目のはなかなかない」と誇らしげに話した廣戸も「自分がもう2回チャンスがあったので、スコア的には4-4。結果論なんですけど、自分が決めていたらチームにいい流れを持ってこれたかなと思います」と唇を噛んだ。 大学サッカー界に激震が走る出来事だった。昨年2月に福山大のサッカー部員による大麻所持が発覚。合計4人の逮捕者を出す事態となり、サッカー部の活動も一時休止に追い込まれた。大学は翌月に「サッカー部員全員の連帯責任を問うことは不要」とした考えを示して活動の再開を許可したが、3大会連続で出場していた総理大臣杯や、冬の大学選手権(インカレ)への出場を逃していた。 「全部の活動が停止しました。その間は自主練とかをするしかありませんでした。言ったら自分たちも被害者だったので、チーム内では絶対になしだよという話はしました」 22年度大会でベンチ入りを経験していた廣戸だが、トップチームでの全国大会出場は、大学に入って初めてだった。さらに振り返れば、大社高3年生で出場した高校選手権では、初戦となった2回戦の青森山田高戦で0-6で大敗を喫した試合以来の“全国のピッチ”(※Iリーグでは昨年度大会に出場)だった。 「青森山田のときも前半0-0で精いっぱいで戦って、後半に失点が重なって敗戦(●0-6)した。きょうもハーフタイムにマジで失点なしで行こうと話していたけど、素晴らしかったですね、相手が」。思い出がフラッシュバックした様子の廣戸だったが、同時に清々しさも覚えたようだった。 大学生活もあと半年を切った。卒業後は地元の島根県に戻って就職を決めているため、社会人チームでは続けるつもりも、「ガチンコサッカーはラストシーズン」と思いを強くしてサッカーと向き合っている。前期のリーグ戦は暫定4位だが、後期リーグで巻き返すことで、インカレへの出場権を掴むつもりだ。 「去年は練習できない期間とかがあった中で、Iリーグで頑張って結果を出せたのは福山大学としてもよかった。もリーグは低迷しているけど、総理大臣杯予選は準優勝して2年ぶりに全国に出た。このままいい流れで冬も出たい」。全国の舞台で自信をつけた背番号10は“ラスタダンス”に向けたもうひと暴れを誓った。

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