岡山県玉野市の史跡・常山城跡にある「常山女軍」の慰霊碑などを倒したとして、玉野署は8日、礼拝所不敬の疑いで、浅口市、高校1年男子(17)、倉敷市、会社員の男(22)を逮捕した。 男子の逮捕容疑は、知人の倉敷市、高校1年男子(16)と共謀。5月30日正午~31日午前11時半ごろの間、常山城跡(玉野市宇藤木など)で慰霊碑や石仏計44基を蹴ったり押したりして倒した疑い。会社員の男は「やれやれ」などと2人をそそのかした疑い。署は認否を明らかにしていない。 署によると3人は遊び仲間といい、関係者への聞き込みなどから容疑を固めた。知人の男子からも任意で事情を聴くとともに、さらに複数が現場にいた可能性があるとみて捜査する。 5月31日朝、44基が倒壊しているのが見つかり、管理する常山観光協会が被害届を提出していた。昨年5月にも同様の被害があり、署が関連を調べる。 常山城は戦国時代に毛利氏に攻められた際、城主の妻・鶴姫と侍女らが敵陣に切り込み自害したことで知られ、同協会が1937年に慰霊碑を建立した。 ■「一安心だが残念」 観光協会・大野会長 容疑者が逮捕されたことを受け、常山観光協会の大野彰一会長(72)=玉野市=は8日、「ひどい行為だったので一安心だが、先人から受け継いで守ってきた慰霊碑を若者が壊したのだとすれば残念」と話した。 5月の被害発覚後、同協会が住民と協力して碑を修復。8月には常山城落城450年の記念行事も開いた。「倒した理由は分からないが、地域の文化を大切にする心を持ってほしい。協会としてもこれまで以上に歴史や先人の思いを発信していきたい」という。