「フィンフルエンサーにだまされた」 玉石混交で詐欺まがいのトラブルも 規制遅れる日本

SNSなどを使い投資や資産運用の情報を発信する「フィンフルエンサー」が台頭している。若者中心にSNSにしたしむ人が増えている上、昨年1月に新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まり、投資熱が強まっていることも背景にあるとみられる。もっとも、発信される情報は〝玉石混交〟で、消費者が詐欺まがいのトラブルに巻き込まれるケースも。今後もこうした状況は続くとみられるが、欧州とは異なり、日本ではフィンフルエンサー特化の規制議論は始まっていない。 ■600万円振り込んだが… 「フィンフルエンサーにだまされた」。近年、こんなトラブルが増えている。 SNSなどで金融や投資に関する情報を発信する人は最近、フィンフルエンサーと呼ばれている。「ファイナンス(金融)」と「インフルエンサー(大きな影響力を持つ人)」を合わせた造語で、元金融機関の職員、有名な個人投資家などさまざまな人がいる。 著名な投資家とSNSでつながり、そのアシスタントとメッセージアプリでやりとりするようになった60代の男性。トレーダーを紹介されて株式を購入することになり、約600万円を口座に振り込んだ。 その後、お金は約1700万円まで増えたはずだったが、確認すると10万円まで減っていた。追加の投資を勧められたため、「これ以上の入金は不可能だ」と伝えると、複数の消費者金融のURLが送られてきた-。 今年7月、国民生活センターへ持ち込まれた相談の内容だ。センターによると、この投資家が本物だったのか偽物だったのか分からないという。 センターに対しては、SNSでつながるなどした著名人を名乗る人らから金融商品を勧められ購入したが、お金が返ってこないといったトラブルの相談が増えている。 件数は2021年度の52件から22年度に170件と3倍以上に増えた後、23年度は1660件とさらに10倍近くまで急増。24年度は976件と約4割減ったが、それでも22年度の5倍以上だ。 大和総研の谷京研究員によると、〝オフィシャル〟に使われるようになったのは、24年11月、世界の証券監督当局などが参加する「証券監督者国際機構(IOSCO)」が「フィンフルエンサー」と題する文書を公表し、リスクを整理したあたりからだという。

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