ロシアの反体制派指導者、刑務所で毒殺か 検査結果で判明と妻が主張

(CNN) ロシアで獄中死した反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏について、妻のユリア・ナワルナヤ氏は、シベリアの刑務所に収監されていた際に毒殺されたことが判明したと主張した。秘密裏に持ち出したナワリヌイ氏の検体を検査した結果だとしている。 ナワルナヤ氏によると、検査は海外の研究所2カ所でそれぞれ独立して行われた。両機関とも同一の結論に達したという。 クレムリン(ロシア大統領府)のペスコフ報道官は17日午前の記者会見で、これらの主張について「関知していない」と述べた。 ロシアのプーチン大統領を激しく批判していたナワリヌイ氏は、2024年2月に北極圏北部の刑務所で亡くなった。47歳だった。ロシア刑務当局によると、同氏は刑務所内を散歩中に体調を崩し、意識を失ったという。 ナワルナヤ氏はかねて、ナワリヌイ氏の死の責任がプーチン氏にあると訴えてきた。ロシア政府はプーチン氏の関与を否定している。 ナワリヌイ氏の死は世界中で抗議活動を引き起こした。ベルリンやパリをはじめとする欧州各国の首都ではロシア大使館の前に多くの人々が集まり、プーチン氏を非難する横断幕を広げた。 ナワルナヤ氏によれば、ナワリヌイ氏を殺害したとされる容疑者たちは「慎重な作業」で痕跡を消そうとしたが、当該の遺体からは一部の生物学的サンプルが採取され、海外に送られたという。 少なくとも2カ国の研究所がそれぞれ独立してこれらのサンプルを検査したところ、ナワリヌイ氏は殺害、より具体的には毒殺されたことが分かったと、ナワルナヤ氏は述べた。 研究所がどのような毒物を発見したかのかについて、ナワルナヤ氏は説明しなかった。その他の詳細もほとんど明らかにしていない。それでも同氏は各機関に対し、結果の公表を求めた。 ナワルナヤ氏はまた、ナワリヌイ氏の独房を写したと主張する画像も共有。そのうちの一枚にはナワリヌイ氏の嘔吐(おうと)物が写っているとしている。 CNNの取材に対しナワリヌイ氏のチームは、関係する研究所から完全な報告書をまだ受け取っていないと述べた。今回疑惑を公表した理由の一つは、研究所に調査結果を公表するよう圧力をかけるためだとした。チームはその他の詳細をほとんど示さず、どの国が検査に関与していたかも明らかにしなかった。 2021年、ナワリヌイ氏はドイツからロシアに帰国した。ドイツでは旧ソ連時代の神経剤ノビチョクによる毒殺未遂に遭い、治療を受けていた。ロシア到着後すぐに逮捕されたが、本人はその容疑を政治的動機によるものだと否定していた。 ナワリヌイ氏は最後の数週間をシベリアの刑務所で過ごした。暖を取るために新聞紙を体に掛けて眠ったという。 ナワリヌイ氏の死後数日間、家族は遺体への面会を拒否された。そのため支持者の間では犯罪行為の疑いが高まっていた。

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