和歌山県串本町の金融機関の店長が、横領の疑いで、東京で逮捕されました。 なぎさ信用漁業協同組合連合会串本営業店の店長・新田博志容疑者(44)は、金庫から現金1億600万円を横領した疑いが持たれています。 漁業の街・串本町。 地元に密着し、網元や漁師らが利用する金融機関です。 金庫は、ダイヤルと鍵があるタイプで、店長の新田容疑者が管理していました。 新田容疑者が出勤して来なかった16日朝、金庫を開けた従業員が目にしたのは、現金ではなく、置き手紙でした。 金庫に残された置き手紙 「こんなかたちで、皆様を裏切ることになったこと 本当にごめんなさい 新田」 新田容疑者を知る人 「びっくりしました。めっちゃ良い人なんですよ。手紙を残しているところが彼らしくて、かわいそうで。普通やったら、何も言わずに行けばいいのにね」 新田容疑者は、12日は、いつものように勤務していたそうです。 事件が発覚したのは、16日の朝。店舗は、12日午後3時まで窓口営業し、週末から敬老の日の15日まで休業していました。この間に、現金を持ち出したとみられています。 「汗水たらして稼いだお金なのに」と憤る漁師もいます。 新田容疑者が、串本営業店の店長になったのは5年前。 別の街から転勤でやってきましたが、地域のポスター貼りを快く引き受けるなど、積極的に馴染んでいったそうです。 新田容疑者は19日午前1時半ごろ、新宿警察署に出頭。その際、1億600万円は持っていませんでした。 新田容疑者を知る人は、家賃2万円の一軒家に住み、質素な暮らしぶりだったと口をそろえます。 新田容疑者を知る人 「全然、そんな派手さもないし、いつもサラリーマンが履くようなズボンと白シャツみたいな」 駐車場を貸していた近所の人が、失踪する直前に目撃していました。 新田容疑者に駐車場を貸していた人 「ここに車、止めて歩いていくのを見た。(12日)午後3時か4時くらい。」 「(Q.そのとき荷物は)全然、見えなかった。歩く姿しか見えなかった」 新田容疑者は、自宅に洗濯機はなく、週末は、母親が暮らす和歌山市に帰っていたといいます。 新田容疑者の母親 「お金の使い方が変だとか、そんなのは聞いたこともないし、そんな素振りも見たことない、信じられない」 1億600万円の行方はわかっていません。 新田博志容疑者 「個人的な借金返済のために使った」 職場のある和歌山から遠く離れた新宿で何をしていたのか。何の借金なのか、謎のままです。