"普通の若者"がインフルエンサー射殺…アメリカで「銃で人を撃つ」のはどれくらい簡単なのか?

アメリカ保守派の若き象徴、チャーリー・カーク氏が凶弾に倒れた事件は、改めて銃社会の現実を突きつけた。 容疑者は元軍人でもテロリストでもない、"普通の若者"。それでも狙撃用の銃を入手し、一発で命中させた。銃社会とはいえ、銃で人を撃つのはそんなに簡単なの? * * * ■州によって天と地の差がある銃規制 9月10日(現地時間)、MAGA派インフルエンサーとして知られたチャーリー・カーク氏が、アメリカ・ユタ州の大学での演説中に射殺された。若き保守派の象徴だった人物が凶弾に倒れた衝撃は、アメリカ社会の分断をさらに深刻化させている。 殺人などの疑いで逮捕されたのは22歳のタイラー・ロビンソン容疑者。ユタ州立大学を入学後数ヵ月で退学し、トランスジェンダーの交際相手がいたことからMAGA派のLGBTQ差別やファシズム的傾向に反発していたとも報じられている。だが、高校時代は成績優秀、犯罪歴もなく、過激な組織や宗教とのつながりも確認されていない。 退役軍人でもテロ組織の戦闘員でもない、いわば"普通の若者"が、狩猟用のボルトアクション式ライフルを手に、約180m先から放った1発をカーク氏の首に命中させたのである。 思い返せば昨年のトランプ暗殺未遂事件のトーマス・クルックス容疑者(当時20歳)もまた、明確な動機や背景が見えない"普通の若者"だった。暗殺は未遂に終わったものの、銃弾はトランプ氏の耳をかすめている。 J・F・ケネディ元大統領やキング牧師ら、歴史的にも要人の銃撃事件が絶えない銃社会アメリカ。子供の命が奪われる学校での乱射事件も後を絶たないが、果たして誰でも狙撃犯になれるほど銃で人を撃つことは容易なのか。 アメリカ在住の作家・ジャーナリスト、冷泉(れいぜい)彰彦氏はこう語る。 「今回のカーク銃撃事件も、昨年のトランプ暗殺未遂も、普通の若者が狙撃用の銃を入手し、命中させている。これはまさに、合衆国憲法修正2条で『武装する権利』が認められたアメリカ社会の現実です。 要するに、アメリカでは誰でも簡単に銃が買え、誰でも簡単に射撃訓練が受けられるのです」 どれほど簡単なのか?

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