見えぬ汚職対策、若者不満も ネパール、カルキ暫定首相就任1カ月

【ニューデリー時事】ネパールでSNS規制に端を発した大規模な反政府デモによってオリ政権が崩壊し、カルキ暫定首相が就任してから12日で1カ月がたった。 改革は緒に就いたばかりだが、汚職対策を巡り、デモを主導した10~20代の「Z世代」から早くも不満の声が上がっている。 「私たちの抗議活動の主な要求は不正行為を止めることだったが、何の進展もない」。若者グループのリーダー、ラクシャ・バムさん(24)は8日公開したビデオメッセージの中でこう述べ、政治家や政府高官の資産を調査できる強力な権限を持つ委員会設置を訴えた。 7日には政治家らの職権乱用を調べる既存の委員会事務所前で若者らがデモを行い、委員長の辞任を要求。背景には、暫定政権が汚職問題にどう取り組むのかが見えてこないとのいら立ちがある。これに対し、若者側の推薦で暫定首相に任命されたカルキ氏は「若い世代が望む変化に責任を持って取り組んでいる」と理解を求めた。 首都カトマンズを中心に9月8、9両日に起きたデモでは、治安部隊との衝突などで学生ら70人超が死亡した。若者側は治安部隊を使ってデモ隊の殺害に関与したとして、オリ前首相とレカク前内相の逮捕を要求した。 一方、暴徒化したデモ隊によって400以上の警察署が放火され、暫定政権は暴力や破壊行為を捜査する組織を発足させた。刑事責任の追及でも、双方の間で溝が生じつつある。 若者側も一枚岩ではなく、憲法に関しても改憲派と護憲派のグループがある。2008年に廃止された王制の復活を唱える一派もいる。

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