恐る恐る、顔写真付きのカードを提示した。偽造有印公文書行使などの罪に問われたインドネシア国籍の男性被告(26)。警察官も一見しただけでは見破れないほど、精巧に作られた偽造運転免許証だった。後に偽物と判明し、逮捕された。 被告は昨年7月、特定技能の在留資格で入国した。大阪府の介護施設で勤務した後、福岡県の介護施設に転職。職場の上司から「免許を取得すれば車を譲る」と言われたが、母国の免許を日本で有効な免許に切り替える手続きが遅れた。 「車が安くて早く買いたかった。我慢できなかった」。フェイスブックで知り合ったインドネシア人から、偽造免許を5千円で購入した。手続きが終了したとうそをついて車を譲り受け、通勤などで使用した。今年5月、熊本県で遊んで福岡県へ帰る途中、鳥栖市で脱輪事故を起こした。 最終弁論で被告は「職場の人はみんな親切で、謝りたい。できるか分からないけれど、また福岡で働きたい」と願いを語った。判決の後、裁判長は「あなたはおそらく本国に帰って生活することになる」と伝え、被告は制服姿の2人に連れられて法廷を後にした。(判決=懲役2年、執行猶予4年)