【三重】警察官をかたる特殊詐欺が増えていることを受け、県警は県内各地を走る三重交通の路線バスにメッセージを込めた広告の掲載を始めた。また、詐欺撲滅を訴える動画を放映し、商業施設では巨大スクリーンに投影する。発信主は知事で、メッセージによる防犯意識の高まりに期待がかかる。 県警生活安全企画課によると、広告は来年3月19日までの間、55台のバスの正面に掲載される。北勢から東紀州まで県内全域を走ることになり、同課の飯田真琴次長は「アピール効果はかなりあると思う」と話す。 一方、動画は11月10日まで、県内のスーパーや金融機関、医療機関などで流される。一見勝之知事が撲滅を訴えるメッセージを発しており、飯田次長は「何といっても県民への知名度が抜群。そんな知事のメッセージであれば抑止効果は相当あると思う」と人選の理由を説明する。 かつて、被害者は高齢者が中心だったが、最近は20代の若者も被害に遭うケースが増えている。特に警察官をかたる詐欺では、被害者の裸体を撮影するケースもあるほか、詐欺の電話は番号の末尾が「0110」になっていることも多い。 ただし、番号の最初に「+」がつく海外発信の電話も多く、見破るチャンスはあるという。飯田次長は「特殊詐欺の場合、借金をさせてまで金銭を要求する悪質なケースもある。昔のように高齢者だけが被害に遭うというイメージは捨ててほしい」と強く訴えている。(安田琢典) ◇ 三重県警は今年9月に発生した特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の発生状況を発表した。特殊詐欺の件数は41件で前年同月比8件増。SNS型投資・ロマンス詐欺の件数は37件で、前年同月比19件増だった。 組織犯罪対策課によると、特殊詐欺の被害額は1億3千万円で、前年同月比7600万円の減。前月と比べると件数は7件増えたものの、被害額は4500万円減った。 SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は2億3300万円。前月と比べ件数は16件減、被害額は2億100万円減った。 警察官をかたる詐欺が相変わらず目立つといい、「逮捕した犯人にあなたの顔写真を見せたら、体にタトゥーがあると言っていたので確認させてほしい」などとビデオ通話で裸を見られる被害も発生した。県警は強く注意を呼びかけるとともに、早期の相談を訴えている。(安田琢典)