【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が昨年12月に宣布した「非常戒厳」について捜査する特別検察官チーム(特検)は12日、情報機関、国家情報院(国情院)の当時のトップ、趙太庸(チョ・テヨン)前院長を職務放棄や国情院法違反などの疑いで逮捕した。 歴代の国情院長は、大統領のいわば〝影〟的存在として裏の業務を担わされ、政権交代後に捜査を受けるケースが多い。1999年の国情院発足以降、院長経験者が逮捕されたのは今回を含めて8人目という。 趙氏は、戒厳の計画を事前に知りながら国会への報告を怠った疑いが持たれている。戒厳を巡る尹氏の指示を証言した当時の国情院幹部の動向を映した監視カメラの映像を当時の与党にだけ提供するなど、政治関与を禁じた国情院法に違反した疑いもある。 ソウル中央地裁が12日、「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発付した。 特検は12日、SNSに戒厳を支持する投稿をしたとして、内乱宣伝・扇動の疑いで、朴槿恵(パク・クネ)元政権で首相や大統領の権限代行を担った黄教安(ファン・ギョアン)氏の身柄を拘束した。黄氏はこれまで3度にわたる特検からの出頭要請に応じてこなかった。