DNA型捜査、法的規制を求めて集会 専門家がドイツの運用を紹介

犯罪捜査のDNA型の取り扱いをめぐり、法的規制を求める集会が15日、名古屋市であった。北九州市立大学の水野陽一准教授(刑事訴訟法)が講演し、ドイツなど海外例を紹介。国家公安委員会規則にもとづく運用でDNA情報の抹消も捜査当局の裁量に任せられている日本の現状について警鐘を鳴らした。 集会は、暴行容疑で愛知県警瑞穂署に逮捕され、その後無罪となった同市瑞穂区の薬剤師奥田恭正さん(69)の訴えがきっかけだ。逮捕時に警察に採取されたDNA型を巡り、抹消請求訴訟を経て、昨年8月の名古屋高裁判決は抹消を国に命じたほか、「立法措置が必要」と指摘した。判決を生かそうと、奥田さんや弁護団らが集会を開いた。 水野准教授はドイツでは、殺人事件や性犯罪などに対象犯罪が限られ、DNA型の採取、データベースへの登録も裁判所の許可がいる、などと厳格な運用を紹介した。 立法をめぐり、警察庁は「不要」との立場を崩していない。最近も名古屋市西区の26年前の殺人事件の容疑者逮捕の契機になったとされるなど事件の捜査進展への期待がある一方、佐賀県警科学捜査研究所の職員によるDNA型鑑定の不正が発覚している。 奥田さんは「警察庁まで行って抹消を確かめようとしたが、最後は『信じて』と言うだけ。法律で手続きがなされ、(抹消を)確かめられるようにして欲しい」と話した。来年6月にDNA情報の法制化を求める会の結成総会を開く。(エリアリポーター・伊藤智章)

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