不整脈IQを鍛えよう<2> 不整脈疾患で動悸(どうき)を詳細に聴取することは、不整脈診断に至る上で重要なアプローチですが、動悸症状の強弱・有無にかかわらず、長時間心電図を含めた検査による客観的評価が必要です。 心電図検査は心臓の電気の流れを調べるもので、多くの情報を含んでいます。心臓は2種類の心筋で構成されています。それは電気をつくり発火させ流す「刺激伝導系」と、刺激伝導系からの電気を受け取り心臓の収縮と弛緩(しかん)を繰り返す「作業心筋」と呼ばれる心筋組織。それぞれの心筋のどちらか、あるいは両方の異常により不整脈が発生しやすくなります。双方の心筋組織の電気的特性を調べる検査が心電図検査です。 心電図検査では、刺激伝導系を流れる電気の発火・伝導・配線異常の有無や作業心筋のダメージの有無・程度を評価することが可能ですが、不整脈は時に発作性です。非発作時に施行された心電図ではマイナーな伝導異常が検出されても、肝心な不整脈の明らかな異常が発見できないことは問題です。不整脈疾患の多くは、不整脈発作時の心電図記録を確保することが治療方針を決める上で極めて重要で、「不整脈は現行犯逮捕」と言われるゆえんです。 ホルター心電図検査は、24時間心電図全記録検査です。通常の心電図検査に比べて24時間での不整脈検出率は当然高いのですが、最大24時間でしかありません。より長時間の心電図記録による不整脈診断精度を上げるため、当院では7~12日間の簡易型ホルター心電図検査(検査中入浴も可能)を施行することで、不整脈の現行犯逮捕がより可能となっています。不整脈発作を心電図記録にすることで、正しい診断のもと正しい治療計画が可能となるのです。不整脈をカテーテルアブレーション治療で根治するためにも重要なのです。