東京都内で、お茶の教室を経営していた女が、生徒から123万円をだまし取った疑いで逮捕され、28日、送検されました。 渋沢宗麗こと、渋沢麗扇容疑者(68)。新宿区にあるマンションの1階で、茶道教室を経営していました。 警視庁によりますと、渋沢容疑者は、2017年、当時48歳だった女性に「教授の申請をしたらいいんじゃない」と声をかけたといいます。 教室のホームページに、一番上の資格として掲載されている“教授”。稽古を積んで“準教授”となった後、さらに経験を重ね、師匠の推薦を受けた本部が認めて、初めて取得できます。そう簡単に手が届くものではありません。 しかし、去年4月、渋沢容疑者から女性に“教授”を取得できたかのようなメッセージが届きました。 渋沢容疑者 「待ちかねた教授、おめでとうございます」 だまし取ったとされる“登録手数料”名目の123万円。 メッセージには、宗家事務局執事引次88万円など、その詳細までも記されていました。しかし、実際には、申請すらしていませんでした。 警視庁によりますと、本来、“教授”の資格にかかる費用は、“挨拶料”44万円ほど。申請してから認められるまでには、10年ほどかかるといいます。 渋沢容疑者は、書道や着付けなど「日本の伝統文化を学べる」と銘打ち、教室を経営していました。 かつて、半年ほど容疑者の教室に通ったことがある人は、こう話します。 渋沢容疑者を知る人 「とてもお茶の世界で、成功されている方だなというイメージ。当然、社交的で、見た目も華やかな方。東京だと、かなり名の通った先生だと思う。そういう立場の方が、まだ全容はわからないけど、お茶を侮辱するようなことを、何でしたのかと思い、悲しくなった」 そのうえで、こう指摘します。 渋沢容疑者を知る人 「(教授は)試験を受けて、パスするということではない。その人の今までの実績や人柄。お茶の普及・発展に貢献してきたかも加味される世界なので」 事件は、なぜ発覚したのでしょうか。 警視庁によりますと、資格を与える“許状”を渡すところを見た教室の関係者が、申請期間の短さや多額のお金が支払われていることを不審に思い、本部に問い合わせました。すると、申請の事実が確認できず、明るみになったのです。 “教授”の許状は、師匠を介さず、京都の本部から直接、受け渡すのが通例。 今回、渋沢容疑者が渡したのは、すべて偽物で、紙質も字体も、本物とは異なっていたといいます。 渋沢容疑者は、取り調べに対し「全然やっていません」と容疑を否認しているといいます。 警視庁は、同様の手口で、ほかにも現金をだまし取っていたとみて調べています。