アメリカの憲兵隊は日本人を拘束できる? 共産議員が憤り「米兵の性暴力事件が相次いで、再発防止のリバティー制度が守られず、制度の実効性のために行ったパトロールで取り決めを守らない」

4日、参議院外交防衛委員会にて「アメリカ憲兵隊が基地の外で民間人を誤認拘束した問題」について議論が行われた。 共産党の山添拓議員は「沖縄では米兵の相次ぐ女性暴行事件を受けて、4月に日米合同のパトロールが始まった。これは元々県警が自治体とも連携して夜間パトロールをしていたものに米側が合流したもので、県警は当初から『慎重にしないといけない』としていた。なぜなら、主権に関わるからだ。9月以降は米軍憲兵単独のパトロールも実施されるようになった。どういう経緯で始まったのか?」と確認。 これに外務省大臣官房 山本参事官は「沖縄県では、在日米軍施設区域外において、これまでも米軍による生活指導巡回が実施されてきているが、地元自治体の要望等も踏まえて、在日米軍が自主的に設けている勤務時間外行動指針の実効性をさらに高めるという観点から、アメリカの憲兵隊は地元を含む関係者との調整等を行った上で、県警との共同パトロールに加えて、単独でもパトロールを実施している。重要なことは、これまでに米側が発表した一連の再発防止策が実際に事件・事故の再発防止につながることであり、かかる観点から米側はこのような措置を取っていると理解している。米憲兵隊による単独パトロールを通じたものも含め、引き続き在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけていきたい」と回答。 4月以降、パトロールによる逮捕者が101名であることが明らかになると山添議員は「パトロールをいくら強化しても(兵士の行動を規制する)リバティー制度違反はなくなっていない」と指摘。さらに「基地の外で民間人と米軍人をどう見分けるのかということが最初から懸念されていた。そこで起きたのが沖縄市での民間人の誤認拘束だ」として事実関係の説明を求めた。 茂木敏充外務大臣は「11月22日の未明に沖縄市及び北谷町において米憲兵隊による単独パトロールが実施された。その際、リバティー制度に違反した疑いにより米憲兵隊13名を拘束したが、そのうち1名は日米地位協定の適用を受ける米軍人等に当たらないことが確認されたため釈放した」と説明した。 山添議員は「(誤って拘束された人は)通りで目が合ったということでIDの提示を求められて『軍人ではない』と拒否したところ、米兵が後ろから持ち上げて道に投げ出し、2人がかりで地面に押し付けて制圧し拘束。軍人でないことが判明したので1時間後にようやく解放されたが、顔や手首には怪我を負ったという。この動画が公開されて世界中に拡散されている。そこで(誤って拘束された人が)『IDを見せないからといって手当たり次第に日本の市民を拘束できるのか?』と尋ねたのに対して憲兵隊は『できる』と答えている。これは事実か?」と聞いた。 茂木外務大臣は「現在、米側が詳細な事実確認を行っているとこであり、事実確認が終了するまでは、米憲兵隊による単独パトロールを中断するとともに、パトロールを実施する隊員を再教育していると説明を受けている」と答えた。 山添議員は「日米地位協定の17条10項は、基地の外での米軍の警察権行使について、日本側との取り決めを条件としている。日本側での取り決めは日米合同委員会の合意がある。『基地の近傍で、基地の安全に対する罪の現行犯逮捕』が条件とされている。(拘束された人は)繁華街でIDを見せなかっただけだから、3つの要件にいずれも当てはまらない。おまけに憲兵隊は『日本人まで同様に拘束できる』と言っている。これは許されるのか?」と確認。 山本参事官は「ご指摘の通り、米軍は日米地位協定第17条10のbに基づいて、在日米軍施設区域外において必ず日本国の当局との取り決めに従うこと、また日本国の当局と連絡して使用されること、かつ合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のための必要な範囲内に限ることを条件として軍事警察を使用することができる。またこれに加えて、米軍は在日米軍施設区域の近傍で当該施設区域の安全に対する犯罪が現に行われている場合などには、関連の合意議事録等に基づき、米軍人等以外に対しても軍事警察を使用することできるとなっている。今ご指摘のあった事案については米側で詳細を確認中だ」と説明した。 山添議員はこの回答には納得できない様子で「これは基地の外の問題だから、本来、犯罪行為があれば、日本の警察が警察権を行使し、逮捕するなど対応するべき問題だ。地位協定上合意があり、取り決めがあればそれに従ってということがあるが、この事案については、民間人に対してIDを見せなかったというだけで拘束、かなり乱暴なことまでされている。これは、日本側としてもその対応についてきちんと説明を受けて、そして正していく必要があると思うが、いかがか?」と追及した。 山本参事官は「先ほど申し上げた通り、今アメリカで事実関係に関する確認を行っているというところであり、待ちたいと思う。だが、それを踏まえて、まさに日米でどういう風に今後対応していくかはまたその次に考えていくことだ」と答えた。 山添議員は「日本人も(拘束)できるかと問われて『できる』と答えている。これは違いますね?」と確認すると、山本参事官は「くり返しになるが、まさに協定上は17条の10のb、それから地域協定に関する合同委員会の合同議事録に基づいて行う」と回答。 山添議員は「基づいていないことが行われているようだ。米兵の性暴力事件が相次いで、その再発防止のためにリバティー制度といっていたわけだが、それが守られず、事件も続発し、そのリバティー制度の実効性のために行ったパトロールで取り決めを守らない。何重にもルールを破っている。単独パトロールは、先月、那覇市の松山や国際通りでも行われている。これは基地近傍どころではない。地位協定との関係も踏まえて法的根拠を整理して、この委員会に報告いただきたい」と憤りを見せて訴えた。 (ABEMA NEWS)

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