元フジテレビアナウンサーでフリーの渡邊渚アナの発言をめぐり、ネット上で激しい議論が巻き起こっている。問題提起した渡邊アナの影響力の大きさを示すものであり、オピニオンリーダーとしての存在感を改めて印象づけた。 議論のきっかけとなったのは、渡邊アナが昨年12月に「NEWSポストセブン」で連載しているエッセイで記した内容である。12歳のタイ人少女が都内の個室マッサージ店で性的サービスを強要されていた事件を取り上げ、性犯罪を厳しく取り締まるスウェーデンと比較しながら、「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われていることを、日本人ははっきり自覚し、恥じるべきだ」と断じたのだ。 さらに「自分の会社員時代を振り返ってみると、風俗に行ったことを自慢げに話す男性たち、女性をどうやって騙して呼び出すかを力説するおじさん、女はお茶汲み係と言ってくる人をたくさん見てきた。女性をどれだけぞんざいに、自分の思い通りに使用したかを平然と語られる世界線が、はっきり言ってキモすぎる。『日本は治安がいい』なんて、殊、性犯罪や男女平等の面においては、全く言えない」と強い憤りを表明し、「売春させる人間を罰するだけでなく、買う側が刑罰を受ける法律にするべき」「痴漢ですらろくに逮捕されないのが日本だ」などと持論を展開した。 これに対し、ネット上で「スウェーデンなど北欧の方が性犯罪の件数が多い」との批判が寄せられると、渡邊アナはSNSで「それは性犯罪と認定される範囲が広く、痴漢も盗撮も、不同意性交も、性犯罪になるからです。一方、日本は数としては少なく見えるだけで、そもそも性犯罪とされることの範囲が狭く、また被害届を出せない人が多いのが現状です」と反論した。 これに対してイタリア・フィレンツェ在住のオペラ歌手でエッセイストの清水晴子さんが、1月25日付のSNSで「渡邊渚さんの『日本は性欲に甘い国だ』という嘆き。フィレンツェの空の下で、私は深い溜め息をついてしまう。誤解を恐れずに、海外在住の視点から残酷な真実を言おう。『痴漢』という言葉がこれほど定着しているのは、日本が『世界でも異常なほど安全な国』だからだ」と、渡邊アナの主張に異を唱えた。 さらに清水さんは、イタリアや欧米の地下鉄で居眠りをしたら「財布を盗まれるか、あるいは『痴漢』なんて生温い言葉では済まされない、命に関わる暴行を受けるリスクがある」と指摘。「被害者が悪いと言っているのではない」と強調した上で、「『痴漢という卑劣だがローリスクな犯罪』が成立してしまうほど、日本の空間は平和で、誰もが油断できるほど守られている」と意図を説明した。