便乗のつもりがプレーヤーに 証券口座乗っ取り 被告が語った後悔

証券口座が乗っ取られ、株が勝手に売り買いされた事件に関与したとして、金融商品取引法違反(相場操縦)と不正アクセス禁止法違反の罪に問われた林欣海(リンシンハイ)被告(38)の初公判が17日、東京地裁であった。林被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、即日結審した。 この日の被告人質問で、林被告は、計画に「便乗するだけ」のつもりが知らぬ間に「プレーヤー」になっていた経緯を説明した。 事件に関わったきっかけは、いとこから聞いた、こんな話だった。 《数千人の証券口座をコントロールできる人がいる》 それがどこにいるのか、どんな人なのかは分からなかったが、口座を乗っ取り株価を操縦するグループだと認識したという。 事前に対象の銘柄を買いつけておき、株価が上がったあとに売ればもうけられる――。そう考えて計画に便乗しようと決め、自己資金6500万円と知人から借りた金を合わせた計1億円で株を購入し、それを2~3倍の価格で売り抜けたいと考えた。 まもなく、いとこから「明日くらいにやるみたいだ」と連絡が入った。翌日、中国のSNSアプリ「WeChat(ウィーチャット)」のグループチャットに招待され、銘柄名、購入する株数、購入金額(指し値)を示すメッセージが届いた。「買わないと損をする可能性がある」と考え、その通りに買い注文を入れた。 すると今度は、売り注文の指示が来た。自分で株価を見ながら売ろうと思っていたので、「怪しい」と感じたという。 この売り注文と同時に、乗っ取られた口座によって同じ価格の買い注文が出されていたが、この時点では認識していなかった、と語った。 一連の取引で林被告が得た利益は、850万円ほど。想定よりかなり少なかった。「プレーヤーとして利用されたのではないか」と不信感を強くしたという。 検察側は論告で、林被告が犯行を主導したとは認められないとしながらも、犯行に「不可欠の重要な役割を果たした」と批判。弁護人は、林被告が不正アクセスには直接関わっておらず、相場操縦についても「(個別の注文は)意味を理解せずに買っていた」と主張した。 林被告は、弁護人から「振り返ってみて、得られた利益と失ったもののバランスはとれているか」と問われ、声を震わせながら答えた。 「とれていない。後悔している」(西田有里)

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