英チャールズ国王、アンドルー元王子から距離置く 王室にダイアナ元妃の死以降最大の危機

ロンドン(CNN) 英チャールズ国王からの声明は、迅速にして簡潔なものだった。そこには当局に対する「全面的かつ心からの支援と協力」の表明に加え、「法があるべき形で適用されなくてはならない」とも記されていた。 この数時間前、国王の弟は王室が所有するサンドリンガムの自宅で逮捕されていた。物議を醸す事態には慣れている王室一家の基準に照らしても、それは驚くべき展開だった。 わずか100語程度に短くまとめられた声明の内容から、国王の現状に対する返答はこれ以上ないほど明確だった。締めくくりは「私と私の家族は、今後も全国民への義務と奉仕を続ける」という言葉。つまり弟へのわずかな同情よりも、国への義務を優先するということだ。 ウィリアム皇太子とキャサリン妃もこの声明を支持したと伝えられている。王室の最高位のメンバーが、この戦略で一致団結した形だ。 アンドルー元王子をめぐる疑惑が浮上する中、国王の対応は亡き母エリザベス2世のそれとは対照的だ。 アンドルー元王子はエリザベス女王のお気に入りの息子だったと伝えられる。批評家たちはかねて、女王の元王子への対応は遅きに失したとの見方を示していた。性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米富豪、ジェフリー・エプスタイン氏との友情がもたらした影響について、女王は元王子にもっと早くその責任を問うべきだったというのが批評家たちの主張だ。 2021年、エプスタイン氏による性的人身売買事件の代表的な被害者、バージニア・ジュフリーさんが起こした民事の性的暴行訴訟では、アンドルー元王子の支払った巨額の和解金をエリザベス女王が提供したと報じられている。 この支払いにもかかわらず、アンドルー元王子はジュフリーさんの訴えを一貫して否定。二人が一緒に写った写真があるにもかかわらず、本人に会ったことさえ覚えていないと主張していた。 エリザベス女王とは対照的に、チャールズ国王は22年に即位して以来、弟への対応においてより断固とした姿勢を見せている。報道によるとチャールズ国王は、かねてアンドルー元王子をウィンザー城にある公邸「ロイヤル・ロッジ」から退去させる選択肢を検討していた。それは弟から「王子」の地位を剥奪(はくだつ)し、昨年10月に実際に立ち退きを命じるずっと以前のことだったという。 注目すべきは、チャールズ国王が19日に発表した声明の中で、アンドルー元王子を自分の弟と明確に表現しなかったことだ。 王室筋がCNNに語ったところによると、チャールズ国王も王室も、アンドルー元王子の逮捕について事前に知らされてはいなかった。公務上の不正行為の疑いによる逮捕はもちろん有罪を示すものではないが、それは元王子の長年の転落劇における新たな異常事態となっている。 警察によると元王子は釈放されたものの、捜査は継続中。現時点で起訴はされていない。 元王子は、米司法省がエプスタイン氏に関する数百万点に及ぶ文書を公開した後に浮上した最新の疑惑について、公には反応していない。これまで取り沙汰された不正行為に関してはすべての疑惑を再三否定し、エプスタイン氏が告発されている行為について目撃したことも、疑念を抱いたこともないと述べている。 今回の公務上の不正行為に絡む疑惑に関して、元王子本人からのコメントはない。 王室は先週、チャールズ国王が当局の捜査に協力すると明言した。これは、要請があれば王室が警察に対し、アンドルー元王子と他者との間で交わされた内部のやり取りへのアクセスを許可する可能性があることを意味する。 11歳の年齢差から、チャールズ国王とアンドルー元王子は幼少期にそこまで親しい仲だったとは考えられていない。国王は妹のアン王女とより強い絆で結ばれていることで知られる。 兄弟が最も親密だったのは1980年代、チャールズ国王が故ダイアナ元妃と結婚し、アンドルー元王子がサラ・ファーガソン氏と結婚した時期だろう。当時ダイアナ元妃とファーガソン氏は親友同士として知られていた。 王室歴史家のケイト・ウィリアムズ氏はCNNの取材に答え、チャールズ国王とアンドルー元王子について「近年は関係が冷え込んでいるが、若い頃は二人とも王室の一員としてお互いをよく知っていた。それぞれの家族も仲が良かった」と語った。 王室は今「大きな問題を抱えており、それが王室とアンドルー元王子とを断絶させている」とウィリアムズ氏。今後は国民が国王と王室全体に対し、より広範な説明責任を求めるようになるとの見通しを示す。 「『チャールズ国王は一体何を知っていたのか?』という疑問がますます高まっていくだろう。それから人々は『ウィリアム皇太子は何を知っていたのか?』と問い始めると思う」「これはダイアナ元妃の死以降、王室が直面する最大の課題となるだろう」(ウィリアムズ氏) 王室評論家のサンドロ・モネッティ氏は、「アンドルー元王子の問題はこれまでも、そしてこれからもチャールズ国王の治世全体を決定づけるものになるはずだ」と述べた。 「多くのものが剥奪されたにもかかわらず、アンドルー元王子は依然として王位継承順位8位だということを指摘したい」とモネッティ氏は付け加え、今後数日中に議会でこの変更を求める声が上がる可能性を示唆した。 「彼(アンドルー元王子)が非難されている行為は、王室の未来全体を危険にさらしている」(モネッティ氏)

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