財布から消える現金、妻は夫を疑い…住宅街で多発した家庭不和 誘発した〝怪盗〟の告白

財布にあったはずの現金がない。でも、空き巣に入られた形跡もない…。疑いたくはないが、仕方なく家族に尋ねる。「お金とった?」「え、何のこと」。大阪府東大阪市の住宅街。夫婦間で言い争いが起きた。これだけなら間々ある話。どちらかの勘違いかもしれない。だが同市の一定地域では、複数の夫婦間で同じトラブルが勃発、こじれて離婚に発展したケースもあったという。施錠された密室から現金が消える〝怪現象〟はなぜ起きたか-。 ■侵入の痕跡残さない 「申し訳ないというほかない」 2月中旬、未決勾留者を収容する大阪拘置所(大阪市都島区)。面会に応じた無職の男(46)は神妙な面持ちで、何度も謝罪を口にした。 東大阪市で起きた〝怪現象〟は、この男の仕業だった。 大阪府警枚岡署は昨年8月、同市内の民家で現金を盗んだとして男を逮捕。最終的に84件、現金計約460万円の窃盗被害を裏付け、送検した。 特徴的なのは、同市内の一定地域で約8年間にわたり侵入盗を繰り返しながら、男の関与が浮上したのは昨年6月の被害申告が最初だったこと。 盗んだ痕跡を残さない-。この手口が連続窃盗の発覚を遅らせていた。「気づかれないよう何も壊さず、絶対に音をたてないように気をつけていた」 ■盗んだ鍵使う大胆手口 まだ明るいうちに住宅街を歩き、リビングの様子を観察した。戸や扉が施錠されていない家屋に目をつけ、寝静まったころに侵入。室内にある財布の現金だけを抜き取り、立ち去った。 だが、昼間は無施錠でも、夜には鍵がかかっていたり、シャッターが下りていたりする。確実性を追い求めた男は大胆な方法を思いつく。「家の鍵を盗む」。後日、その鍵を使って再び同じ家に忍び込んだ。 一見リスキーだが、府警によれば、鍵を盗まれた被害者の多くが「紛失した」と思い込んでいたという。 男は面会の際、この手口について「(同じ家なら)下調べに行かなくてもよくて、楽(らく)だから」と説明した。 もっとも、男が犯行にたやすさを求めたのは、労力面だけが理由ではなかった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加