24日で4年を迎えるロシアのウクライナ侵攻で、ロシア軍に連れ去られたウクライナの子供の帰還が進んでいない。 少なくとも約2万人がロシアなどに移送され、帰還できたのはわずか1割ほど。ロシアは移送先の施設で思想教育や軍事訓練を盛んに行い、ウクライナの子供を愛国的な「ロシア兵」に育て上げようとしている。 ウクライナ政府によると、2022年2月の侵攻開始以来、現在までに約2万人の子供が故郷から連れ去られ、うち帰還したのは約2000人にとどまる。ただ、領土の一部が今も占領下にあるため全容把握は「不可能」といい、氷山の一角にすぎない可能性がある。 そうした中で危惧されているのが、連れ去った子供を国家ぐるみで「ロシア兵」に再教育する動きだ。キーウの人権団体「地域人権センター」の報告書によると、23年~25年8月に計約2万7000人の子供がロシア国内外の「再教育キャンプ」に送られ、ロシアの政治家や侵攻に参加した兵士と面会。侵攻を正当化する「愛国教育」が行われたことが公開情報から分かった。 キャンプでは銃器の扱いのほか、ドローン操縦、塹壕(ざんごう)堀り、パラシュート降下などの本格的な軍事訓練も実施された。同センターの法律専門家カテリーナ・ラシェウスカ氏は昨年12月、米上院公聴会で「究極の目的はウクライナ人同士で殺し合いをさせることだ」と非難した。 帰還が進まない原因の一つは、ロシア側が子供の情報を組織的に隠蔽(いんぺい)していることだとされる。同氏によれば、ロシアは国際人道法が定める赤十字国際委員会(ICRC)への名簿提出を拒否。ロシアで個人情報を書き換えて養子縁組に出される事例もあり、追跡は困難を極める。 一方、ロシアのラブロフ外相は「子供の名前や居場所は一切隠していない」と主張する。侵攻に絡み国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出したリボワベロワ大統領全権代表(子供の権利担当)は今月13日、「108世帯の子供134人がウクライナや第三国で親族と再会した」とSNSに投稿。子供の帰還に協力的な姿勢を演出し、批判の矛先をかわそうとしている。