4.2億円強奪事件、暴力団幹部ら逮捕 「金塊取引用」現金狙いか

東京・上野や羽田空港、香港で現金を運んでいたグループが相次いで襲われた連続強盗のうち、上野で現金4億円が入ったスーツケースが奪われた事件に実行役や運転役で関与したとして、警視庁暴力団対策課は14日、特定抗争指定暴力団山口組系組幹部の狩野仁琉(じんりゅう)容疑者(21)ら男性7人を事後強盗容疑で逮捕した。 多額の現金が海外に持ち出されることを事前に知って襲撃したとみられ、警視庁は被害グループの情報をリークした人物がいたとみて全容解明を目指す。 逮捕されたのは他に住所・職業不詳の小池恒児(47)▽千葉県九十九里町の指定暴力団住吉会系組幹部、伊藤雄飛(27)▽東京都板橋区の指定暴力団極東会系組幹部、福原健光(48)――の各容疑者ら。 逮捕容疑は1月29日夜、台東区東上野の路上で、男性(38)ら7人が運んでいた現金4億2300万円が入ったスーツケース3個を奪い、別の男性(43)の顔にスプレーを吹きかけたとしている。警視庁は7人の認否を明らかにしていない。 警視庁や捜査関係者によると、事件には襲撃と逃走用に2台の車が使われた。狩野、小池両容疑者はそれぞれの運転をし、伊藤容疑者ら襲撃の実行役3人に指示を出していたとみられる。車の調達が福原容疑者ともう1人の役割だったという。 事件時は狩野容疑者ら5人で現場付近から車で逃げ、千葉や茨城、栃木県を経由して埼玉県川口市に向かったとされる。警視庁は14日に容疑者らの自宅や車を捜索し、現金計2750万円を押収した。 奪われた現金について、38歳の被害男性は警察に「貴金属店から預かった日本円で、香港で金(ゴールド)を買い付けるための現金だった」と説明しているという。 ◇羽田空港、香港事件との関連は 一連の事件は1月29日夜~30日午前、上野のほか東京・羽田空港と香港・上環でも立て続けに起きた。 羽田空港の駐車場では30日未明に1億9000万円を運んでいた男性4人が何者かに襲われた。現金は奪われなかったが、4人中2人はそのまま現金を持って出国。午前9時半ごろに渡航先の香港・上環の路上で、今度は2人組の男性に襲われ、現金5100万円を奪われた。 香港の事件では、現地の捜査当局がこれまで男女4人を強盗共謀罪で逮捕・訴追している。捜査関係者や香港メディアによると、このうち20代男性は羽田空港と香港の両方で襲われた2人のうちの1人で、香港警察は、襲撃グループと内通して現金運搬の情報を流していたとみている。 上野と羽田空港の事件では、いずれも多額の現金を運んでいた被害者が、車で近づいてきた何者かに催涙スプレーで襲撃された。手口が似ており、警視庁は同一グループの別々の実行役による事件とみて、逃走後の足取りを追っていた。 ◇狙われた「金塊取引用」現金 一方、上野だけでなく、羽田空港と香港で狙われた現金も金塊の売買に関わるものだったとみられている。 羽田空港で襲われた男性は事件直後、「両替の仕事で香港に行くところだった。金(ゴールド)の売買で得た現金が奪われそうになった」と話したという。 この男性は2025年11月にも東京・築地の路上で、車中から現金入りのリュックを盗まれる被害に遭っていた。その時の現金は米ドルやユーロ、中国元など7種類で9500万円相当だった。 現金運搬中に度々襲撃されていることから、警視庁は、現金運搬に関する情報が犯行グループ側に漏れていたとみている。 ◇近年、金塊密輸ビジネスが横行 ゴールドは近年、急激な高騰が続いている。そのため、中国や香港から密輸して消費税の支払いを免れ、日本国内で売りさばく違法ビジネスが横行している。売る際に消費税分を上乗せして利益にする手口で、犯罪グループの資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることもあり、警察や税関が摘発に力を入れている。

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