「これは自分の物語かもしれない」–投獄覚悟で撮り続けるパナヒ監督の、新作に込めた祈り

イランの名匠ジャファル・パナヒの新作『シンプル・アクシデント/偶然』(5月8日公開)は、単なる最新作ではない。長年にわたり国家と対峙し続けてきた映画作家の、その方法論が極限まで研ぎ澄まされた到達点である。 本作は第78回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、第98回アカデミー賞国際長編映画賞と脚本賞にもノミネートされた。パナヒの評価はすでに確立されているが、本作によってその作家としての位置は改めて国際的に強固なものとなったと言える。しかしその一方で、パナヒはいまなお帰国の自由を持たない。イラン国籍を維持し続けながら、国家との関係は断絶に近い緊張状態にある。それでも彼は映画を作り続ける。『シンプル・アクシデント/偶然』は、イラン当局からの正式な撮影許可を得ることなく、イラン、フランス、ルクセンブルクの共同製作として完成された。

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