実情や感情論では打ち消せない現役監督の逮捕という重い事実…

【記者の目】巨人・山口寿一オーナーの「逮捕されたという事実は消すことができない。監督の暴力というのは非常に重い出来事」という言葉が全てだ。娘への暴行容疑での現行犯逮捕。実情や感情論は、現役監督の逮捕という重い事実を打ち消す効力は持たない。他球団なら「当面の謹慎」という判断もあったかもしれないが、伝統球団である「巨人の監督」には重い責任が課されている。 18歳の長女は手紙の中で「殴る蹴るといった事実はございませんでした」と明かした。ただ、阿部監督は当時、飲酒していたとされ、娘の襟元をつかんで投げ飛ばすようにして倒したという。単なる“親子げんか”ではないか、という声もあるが、家庭内であろうと、そうでなかろうと「暴力」は決して許されないのが令和という時代だ。 私にも19歳の一人娘がいる。娘の前で妻と口論になり、ついカッとなって声を荒らげてしまった時、家族からは「それってDVだよ」と言われてハッとしたことがある。身体的なものだけではなく、言葉などで相手を心理的に攻撃することも紛れもない「暴力」なのだ。 今回、長女は対話型の生成人工知能(AI)の回答に基づき児童相談所へ通報した。児童相談所が警視庁に110番し、駆け付けた渋谷署員が現行犯逮捕。AIに相談したことで起きた逮捕劇と言っていい側面もある。やるせないのは、家族の中で収拾が付かなかったこと、警察が逮捕しなければならない状況だったこと。人間同士のコミュニケーションのあり方を見つめ直さなければならないのが、令和という時代なのか。 現役時代の阿部監督を担当記者として取材した。ざっくばらんで、はっきりとした物言い、常に本音で真っすぐな人間だ。暴力は擁護できない。ただ、言い訳せず辞任を決断した姿は、阿部慎之助らしかった。(スポーツ部野球担当部長・春川 英樹)

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