『ハートに火をつけて』脂の乗った時期のジョディ・フォスター主演、いわくつきの迷作(?)

2度のオスカーに輝く名優ジョディ・フォスターの最新主演作『プライベート・ケース』(25)が2026年に日本公開される。彼女の主演作が日本の劇場でロードショーされるのは『モーリタニアン 黒塗りの記録』(21)以来じつに5年ぶり。それだけでもちょっとした驚きだが、これに併せて、彼女が若いころに主演した1990年の『ハートに火をつけて』が一週間限定で久しぶりに日本の映画館で上映されたことには、さらに驚いた。 なにしろ、『ハートに火をつけて』はいわくつきの映画だ。初公開時はフォスターが『告発の行方』(89)で最初のアカデミー主演女優賞を受賞し、その次の作品として注目されていた。監督は『イージー・ライダー』(69)の異才デニス・ホッパーで、彼は出演もしている。これだけでも期待は高まるというものだが、あいにく全米公開時には酷評され、興行的にも空振り。日本では1年遅れで公開されたが、やはりさほど話題にはならなかった。 アラン・スミシーという名をご存じだろうか? これは1968~99年に使用されていた架空の映画監督の名。スタジオと監督の意見が衝突し、監督がこの映画を自分の作品ではないと主張した際に、使用されていた名前だ。ホッパーは編集権をめぐってスタジオと対立。スタジオが独自の編集を行なったため、怒った彼はこれを自身の監督作と認めず、劇場公開時にはアラン・スミシーの名が使われることになった。 そんな事情もつゆ知らず、ホッパーのファンだった筆者は日本公開時に観に行ったが、確かにこれは“???”という感想しか出てこなかった。サスペンスアクションではあるが、異形のラブストーリーでもある。そのふたつがうまく噛み合っているかといわれると、“???”となってしまう。だからといって“つまんない”と言えないのがファンのツラいところ。せっかくの機会なので、なんとももどかしいこの映画について少し整理してみたい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加