小池栄子“夏海”と北香那“絵梨子”の意見が対立 描かれた「支援」とは何かということ<さよならノワール>

小池栄子が主演を務めるドラマ「さよならノワール」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FODほかにて配信)の第8話が、8月25日に放送された。高慢な女性政治家を支援することになった夏海(小池)たち。「ご支援お願いします」と決まり文句のように言う政治家に対しての犯罪被害者支援室の「支援」とは、という奥深さのある展開となった。(以下、ネタバレを含みます) ■犯罪被害者支援室に焦点をあてた警察ヒューマンドラマ 本作は、警察の「犯罪被害者支援室」にスポットを当て、犯罪被害者や遺族らが再び人生の歩みを進めることができるように寄り添い、初動としての支援をしていく警察ヒューマンドラマ。 主演の小池は、元暴力団対策係の刑事で、ある事件を機に新設された犯罪被害者支援室に異動になった黒木夏海を演じる。その夏海の相棒となる、犯罪被害者支援室に派遣の支援員としてやって来た心理学者の白石絵梨子を北香那が務める。 被害者に対等かつ親身に寄り添うことができる夏海に対し、知識はあるがうまく被害者とコミュニケーションをとることができない絵梨子。異なる人生を歩んできた女性2人が互いを助け、足りない部分を補いながら犯罪被害者たちを癒していく。 ■夏海たちは元議員の女性を支援することに 元衆議院議員の滝本祐子(鶴田真由)が、講演会後に支援者と偽って近づいてきた男に刃物で手を切られた。祐子は2年前、自身の秘書が反社会勢力との関係を週刊誌に報じられたことにより、議員を辞職していた。 マスコミを怒鳴りつけるなど評判がよくなく、襲う可能性のある人物は不特定多数と考えられるが、議員に戻りたい祐子が「当選すれば反社の撲滅を必ず実行する」と訴えていたことで、反社の仕業ではないかとも推察された。暴力団対策係の河口(眞島秀和)、大野(濱尾ノリタカ)は、指定暴力団・祥仁會に探りを入れる。 一方、支援の依頼を受けた夏海と絵梨子が祐子の自宅へ向かうと、秘書の畑中正夫(長谷川朝晴)が不手際によって辞めさせられたところだった。家族も家政婦もおらず、唯一の秘書もクビにした祐子は、夏海と絵梨子を家政婦や秘書のように扱う。 支援室に戻り、ぐったりと机に伏せた絵梨子は「支援員は雑用係じゃない」と嘆いた。すると、臨床心理士の田村貴子(戸田恵子)は、「政治家にとって“支援”は軽いものなのかもね。だってすぐに言うじゃない、ご支援よろしくお願いしますって」と言う。 絵梨子は勢いよく立ち上がり、「そもそも、その言葉はおかしいんです! 支援とは本来、困っている人を支え、助けることです。つまり、本人が力を発揮できるように対等な立場で後押しすることを言います。ところが、政治における支援とは献金とか投票。もらったら、おしまい。意味が違います」と大演説。 その勢いに押された夏海が「熱いね」とつぶやくと、「じゃあ2人で教えてさしあげて、本来の支援の意味を」と貴子。夏海は「難題ですね」と言い、絵梨子も深いため息をついた。 ■支援することに意見が分かれる夏海と絵梨子 祐子が考える「支援」という名の雑用をこなしていく夏海と絵梨子。そんな中、祐子に講演会の依頼が舞い込んだ。犯人が捕まっていない状況で人前に出るのはリスクがあるとして、強行犯係の中谷(味方良介)、鴨居(岡山天音)が説得しようとする。しかし、祐子は「犯人を逮捕できないのは警察の怠慢」と聞く耳を持たず、再選へのチャンスとして講演会出席をすでに決めていた。 祐子の態度は「さすがに無茶苦茶」で、このまま支援を続けていいのかという疑問を抱いた絵梨子は、「他にもっと困ってる人はいます」と言う。それに「滝本さんが困ってないとは言い切れないんじゃない?」と返し、最後まで寄り添うつもりの夏海。 意見が分かれた2人。貴子は「支援をバカにするような態度は許せない」と絵梨子の意見に賛成ながらも、支援が必要だとする夏海に「任せたい」という考えを示した。 ■心からの「ご支援ありがとう」に感動 夏海が講演会出席を止めないことに少なからず驚いた祐子。「事件を乗り越えるためには、政治家・滝本祐子の覚悟を見せる必要があるのだと受け止めました」と夏海が言うと、「なるほどね。これが支援か」と受け止めた。 議員時代、犯罪被害者給付金の引き上げに関する改正案をまとめた経験がある祐子だが、それは社会的弱者に理解がある政治家だとアピールするためだと本音を打ち明けた。「もちろん勉強はしたわよ。でも政治家人生をかけようとまでは思えなかった。だって支援っていっても、何ができるのかよくイメージできなかったから」と語った。 講演会の日。祐子を襲った犯人は逮捕されたが、祥仁會の支配下にある人物だった。さらに会場に祥仁會の組員が1人やって来ていた。心配した夏海と絵梨子が控室に向かうと、気丈に見えた祐子の手が震えていることに気付いた。 実は、数日前に祥仁會の会長・不二仁(浅野和之)から連絡が来ていた祐子は、夏海たちに議員になったばかりのころにゆすられて祥仁會にすがったことがあると話した。政治家に恩を売っておけば自分たちの役に立つというのが祥仁會の狙い。それが2年前の件につながり、今回の件が起きて畑中はすべて世間に明かすべきだと提案したが、祐子がそれを受け入れなかったことで自ら秘書を辞めたのだった。 逃げ出したい一方で、そんなことをすれば二度と政治界で浮かび上がれないという思いに揺れる祐子。これまで強くあり続けた祐子が見せた弱さ。そこで夏海は、かつて祐子が言っていた「ナポレオンがロシアとの戦争に負けて、忍耐の重要さを痛感する話が大好き」ということを持ち出した。 「私は逃げても逃げなくてもどちらでも間違いではないと思います」という夏海の言葉。祐子は「どうせ負けるなら、行くわ。それが私よね」と自分を奮い立たせた。そして、「ご支援ありがとう」と夏海や絵梨子に告げ会場へ向かった祐子は、反社と関係があったことを話し謝罪した。 終盤にきて改めて描かれた「支援する」ということ。政治家がよくいう「ご支援お願いします」と対比させた構成が皮肉的でもあり、実に興味深かった。夏海は講演会を引き受けたときから話す覚悟があったのではという推測を絵梨子に語っていたが、表に見えることに囚われずに胸の奥に抱えることまで寄り添う夏海のかっこよさに改めてしびれた。 また、まだ支援員として駆け出しの絵梨子は、この作品を見る側の視点としても重要だったが、最終的に祐子がもし議員に返り咲けば、被害者支援に力を入れてくれるだろうと嬉々としていたのは、憎めないキャラクターを際立たせて愛らしかった。 視聴者からは「黒木さん、さすがだわ」「黒木さんの懐への入り方、毎回すごい」「『ご支援ありがとう』にウルっときた」「過去一腹立つ被支援者だったけど、過去の過ちを認め政治家としての本分に立ち返り、前に進もうとするその姿勢に感動した」「今日の脚本はものすごく示唆的で挑戦的だった」といった声が寄せられた。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加