サウジアラビアで、フェイスブックでのコメントがイスラム教と預言者ムハンマドへの冒涜(ぼうとく)にあたるとして、死刑判決を受けたスリランカからの出稼ぎ労働者の若者について、サウジアラビアの最高裁判所は14日、死刑判決を破棄した。スリランカの外務副大臣が明らかにした。スリランカのアルン・ヘマチャンドラ外務副大臣は、20代のスリランカ人出稼ぎ労働者のアノジャン・シヴァラサさんに対する死刑判決を、サウジアラビア最高裁が破棄したと、フェイスブックに投稿。両国の当局および弁護団の尽力に謝意を示した。問題の発端は、スリランカで若いイスラム教徒の男性が、ヒンドゥー教の巡礼者の後をついていく犬を蹴る映像が、6月下旬にソーシャルメディアで拡散されたことだった。インターネットで宗教的な議論が巻き起こり、その中で、ヒンドゥー教の神を侮辱する投稿があった。それを受けてシヴァラサさんは、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱するコメントをタミル語で書き込んだ。シヴァラサさんはすぐにコメントを削除し、謝罪の動画を投稿した。ところがその動画のスクリーンショットが、やがて彼の雇用主とサウジアラビア当局の目に留まることとなった。シヴァラサさんは7月、当局に逮捕された。電子機器は押収され、ソーシャルメディアのアカウントはサウジアラビア当局によって削除された。シヴァラサさんは当初、サウジアラビアのアル・アハサ刑事裁判所で、拘禁5年と罰金300万リヤル(約1億2600万円)の刑を言い渡された。代理人が減刑を求めて控訴したが、スリランカのウィジタ・ヘーラット外相によると、訴えは退けられたという。9月17日になり、この事件は劇的な展開をみせる。サウジアラビアの検察が、シヴァラサさんをサイバー犯罪法ではなくシャリア(イスラム法)に基づいて起訴するよう上訴。上訴裁はこれを認め、シヴァラサさんの刑を死刑に引き上げた。この出来事はスリランカ全土に大きな衝撃を与え、シヴァラサさんへの恩赦を求める外交努力に発展した。今回の最高裁判断を受け、今後、さらなる法的手続きが行われるかどうかは明らかになっていない。また、シヴァラサさんの拘束は続くのか、続く場合はどれくらいになるのかもわかっていない。サウジアラビア側との法的な交渉に関与しているスリランカのファイザー・ムスタファ議員は、BBCシンハラ語に対し、死刑判決が破棄されたことを認めた。そのうえで、サウジアラビア最高裁の最新の判断内容を精査しているところだと説明した。シヴァラサさんの家族は以前、本人とは9月28日以降、直接連絡が取れていないと明かしていた。複数の国際人権団体も、サウジアラビア当局に対し、シヴァラサさんの命を奪わないよう訴えていた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチでサウジアラビア担当上級研究員を務めるジョーイ・シェイ氏は13日、「サウジアラビア当局は、言論に関連する罪に対して極端に重い刑を科すために、不当な法律を利用するのをやめるべきだ。特に、十分な保護を受けられず、すでに弱い立場に置かれている出稼ぎ労働者に対しては、こうした対応をやめるべきだ」と述べた。(英語記事 Saudi Arabia overturns death sentence for man over Facebook comment, Sri Lanka says)