SNSのタイムラインに流れてくる陰謀論や、科学的根拠のない情報。遠い世界の話のように感じても、案外身近な人がそれを信じているかもしれない。英国在住の作家、ブレイディみかこの最新小説『誤訳するこの世界で僕は』(講談社)は、日本から英国の海辺の町に留学した「僕」が、大家さんをはじめ、個性豊かな隣人たちとの交流を通じて、さまざまな価値観に触れていく物語だ。登場人物のなかには、陰謀論に傾倒する人々もいる。そのモデルとなったのは、ブレイディが実際に暮らす近所の住民たちだ。小説の背景にある英国社会の現実と、パンデミックが残した傷について聞いた。