尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が昨日、憲法裁判所で開かれた弾劾審判4次弁論期日に共に出席した。証人として出てきた金前長官はこの日、尹大統領の主張を後押しする趣旨の証言をした。「国会と政党などすべての政治活動を禁じる」という内容が入った非常戒厳布告令は自分が過去の布告令を参考にして作成したものであり、尹大統領は詳細に検討しなかったようだと述べた。非常立法機構の設置が入ったメモについても「自分が作成し、実務者を通じて崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官に伝えた」と答えた。その間、尹大統領と金前長官は布告令に関して一部で立場の違いを見せたが、この日は口裏を合わせたように同じ主張をした。 尹大統領は21日の3次弁論で「郭種根(クァク・ジョングン)特殊戦司令官らに戒厳解除決議のために国会に集まった国会議員を引っ張り出せと指示したことはあるか」という質問に「ない」と答えた。金前長官も「大統領はそのような指示をしていない。布告令違反のおそれがある人の動静を確認するべきという意味で名簿を呂寅兄(ヨ・インヒョン)防諜司令官に伝達した」と証言した。しかし郭前司令官は22日、国会内乱容疑国政調査特別委員会に出席し、「国会議員を引っ張り出せという指示は明確に事実」と再確認した。ホン・ジャンウォン前国家情報院第1次長も戒厳直後、尹大統領から「今回みんな捕まえて整理すべき」という電話を受け、当初はスパイ集団事件と思ったが、後に防諜司令官の電話で政治家の逮捕ということを知ったと話した。 これは警告性の戒厳という尹大統領側の主張とは食い違う。尹大統領と金前長官が明示的な指示をしていなければ、どうやってホン前次長や郭前司令官がこのように一貫した陳述ができるのか。2人が指示を聞き間違えたという主張だが、常識的に可能なことなのか。金前長官はこの日、「国会議員でなく要員(軍人)を連れ出せという話だった」と述べたが、当時の状況を考えると信憑性が落ちる。 憲法裁の裁判官は非常戒厳宣言当日に国務会議の審議がまともに行われたのか質問した。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「当時の国務会議は欠陥があった」と述べたが、金前長官は「国務会議は短くしたが、国務委員が入ってくるたびに議論し、一部は同意した」と答えた。 食い違う主張がある部分は捜査と裁判で究明しなければいけない。昨日、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は内乱首謀容疑を受ける尹大統領を起訴してほしいとして事件を検察に引き渡した。公捜処は尹大統領を拘束したが、効力がある被疑者尋問調書は得られなかった。事件を引き受けた検察は効果的な捜査で戒厳の実体を明らかにして起訴しなければいけない。公捜処の捜査を拒否してきた尹大統領も当然、責任ある姿勢で捜査に応じる必要がある。