「20~30代の男性は政策、認識、社会的に孤立しているが、そうなったことには(国会議員)全員に責任があります」 6日、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸前の弾劾反対集会に参加していた33才の男性は、こう言って大統領の非常戒厳宣布を擁護した。本来の役割を果たせていない国会に向けた「警告性の戒厳」は理解できると語った。彼のような30代男性たちは漢南洞の官邸前の弾劾反対集会の現場を率いた。それから2週間後、ソウル西部地裁を破壊し警察に暴力を振るった「1・19暴動」で逮捕された人の半分以上が20~30代男性であることが明らかになった。 記者は4年前の大学生時代、「20代男性現象」を研究したことがある。ソウル市長補欠選挙を経て「20代現象」が急浮上した時だった。当時の出口調査で、20代以下の男性の73%が保守側のオ・セフン候補(「国民の力」所属)を支持したという事実(60代以上の男性の70%より高い数値)にショックを受けた。彼らは2カ月後、国民の力のイ・ジュンソク最高委員を憲政史上初の「30代・議員経験なしの党代表」に当選させる気炎を吐いた。 何か尋常でない動きだという点は明らかだった。だが、メディアや政界のいう「イデナム(20代男性)」ではなく、同時代を生きる平凡な同年代の男性たちの話を聞いてみたかった。1989~2002年生まれの男性240人をアンケート調査し、そのうち10人を深層インタビューした。結論は二つだった。彼らが階級・地域など伝統的な政治変数を超越した新しい政治集団になったということと、生涯の過程(学校・軍隊・恋愛)で累積した「剥奪感」を「怒り」で表しているということだった。「反フェミニズム」に代表されるこの怒りは、ジェンダー問題を越えた全方位的なものだった。そして4年後、彼らの一部は投票所ではなく「アスファルト(街頭)」に姿を現した。 同年代の男性たちに向き合いながら切実に感じたのは、若い男性たちには「言語」がないという点だ。正確には、個人の苦痛を共同の問題として、そして構造的な解決策を要求する「連帯の言語」がない。代わりに「誰が刀で脅してるって?(=脅されていないのだから自分の選択だ、という意味の一種の流行語)」や「市場主義」の言語だけが溢れる。「イデナム」でひとまとめにできないそれぞれが生きる上でのつらさを抱えているはずなのに、これを全て個人のせいにして自嘲する。同年代の女性たちが、個人の性差別の経験をフェミニズムを通じて「私たちの問題」として言語化し、街頭に出て制度の変化を作りだしている間、男性たちは例えば軍の強制徴集制度や軍の人権問題に関してなんの言説も生みだすことができなかった。20~30代男性全体として決して一般化できない一部の「極右的な行動隊長」らの集会と暴動も、個別の怒りを表出しただけで、互いの痛みを分かち合う連帯の性格ではなかった。 4年前の報告書はこのように結んでいる。「生存競争と未来の展望が暗い時代の状況に加え、生計扶養者、強い男性という伝統的な家父長モデルを要求される二重の圧迫の中で、若い男性たちがこれを効果的に表現する『言語』を見つけられず『怒り』だけを噴出させているという分析に耳を傾ける必要がある。彼らの省察と変化を引き出すことが、今後の韓国政治の緊急課題になるだろう」 。若い男性たちが「イデナム」などの呼び名でひとまとめにされず、自分の生きづらさを主体的に言語化できることを、連帯を通じて人生の峠を乗り越えられることを、心から願う。 キム・チェウン|政治チーム記者 (お問い合わせ [email protected])