ミャンマーの国境地帯で特殊詐欺などの犯罪行為に加担させられた外国人の窮状が明らかになる中、東部カイン州の国境警備隊(BGF)は、外国人や人身売買の被害者らが15日以降に解放されるとの見通しを示した。タイ側に引き渡すとしており、大規模になる可能性がある。 BGFトップのソーチットゥー大佐が13日付の文書で、タイのプームタム国防相と、タイ北西部ターク県メソトを管轄する軍幹部に協力を要請した。地元メディアが報じた。BGFが14日に特殊詐欺のコールセンターがあるとされる建物を捜索したという情報もある。 カイン州ミャワディでは以前から特殊詐欺や人身売買などの犯罪行為が横行していたが、2021年2月の軍事クーデター以降の混乱で一層悪化。多くの外国人がだまされて連れてこられている。12日にはアフリカ諸国の出身者ら261人が解放され、タイ側に引き渡された。 人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー」は、中国系犯罪組織の関連企業がミャワディでカジノなどの開発に携わり、BGF側も利益を得ていたと指摘する。BGFは国軍の管轄下だったが、現在は国軍の影響力がどこまで及んでいるかは不明。 欧州連合(EU)理事会は24年10月、ソーチットゥー氏らが犯罪行為に加担して金銭的利益を得ているとして制裁を科しており、タイの司法当局も最近になり逮捕状の請求を検討している。国際社会の関心が集まる中、BGF側は外国人を「救出」することで、追及をそらす狙いもあるとみられる。【バンコク武内彩】