滋賀県近江八幡市などの琵琶湖で2008年、職業不詳川本秀行さん=当時(39)、野洲市=の切断遺体が見つかった事件で、殺人の疑いで逮捕された杠共芳(ゆずりはともよし)容疑者(74)が、当時行方不明となっていた川本さんについて、「警察に捕まっていなくなった」などと周囲に話していたことが1日、分かった。死亡が発覚しないよう虚偽の説明をした可能性があり、滋賀県警捜査本部(近江八幡署)は経緯を調べる。 捜査関係者らによると、杠容疑者と川本さんは県内の建設会社の元同僚で、会社の寮などで一緒に寝泊まりしていたという。川本さんの生存が最後に確認されたのは08年5月上旬ごろ。その後、行方が分からなくなっていた。 2人を知る関係者によると、杠容疑者は当時、姿を見かけなくなった川本さんについて、周囲に「泥棒で警察署に呼ばれた」「捕まっていなくなった」などと事実と異なる説明をしていたという。 杠容疑者は18年、別の知人男性を殺害し、遺体を切断した上で、草津市の排水路に捨てるなどしたとして県警に逮捕された。殺人などの罪に問われ、19年に大津地裁で懲役25年の判決を受け、21年に最高裁で確定している。 岡山刑務所(岡山市)で服役中の杠容疑者と複数回にわたって面会した支援者によると、杠容疑者は川本さんの事件への関与を否定していたという。捜査本部は容疑者の認否について明らかにしていない。 川本さんの事件は、近江八幡市や東近江市、草津市の琵琶湖岸など6カ所で08年5〜6月、切断された手足や頭などが相次いで見つかって発覚。10年後の18年11月、遺体の身元は川本さんと特定された。