長崎県北松佐々町が発注した公共工事の入札を巡り、県警捜査2課などは8日、最低制限価格に近い金額を業者側に漏らし、落札させたとして、官製談合防止法違反(入札妨害)などの疑いで町長の古庄剛容疑者(77)を、公競売入札妨害の疑いで同町の会社員、山口情二(62)、同町の会社役員、木田栄三(53)の両容疑者を逮捕した。県警は3人の認否を明らかにしていない。 公共工事に絡み、県内の現職首長が逮捕されたのは、2014年5月の南島原市長以来11年ぶり。 逮捕容疑は、3人は共謀し、昨年7月26日にあった町営松瀬団地の給水管改修工事の指名競争入札で、古庄容疑者が山口容疑者に最低制限価格に近い金額を漏らし、木田容疑者が代表取締役を務める「山龍」に最低制限価格に近い価格で落札させた疑い。 町によると、同工事の入札には山龍を含む7社が参加。予定価格は1793万3千円、最低制限価格は1657万3300円で、山龍は1659万円で落札した。最低制限価格は一部の関係職員で決め、決定権者は町長だったという。工事は今年1月に終わった。 同課によると、古庄容疑者と山口容疑者は「古くからの知人」。別の建設会社に勤務する山口容疑者が、「仕事上の知人」である木田容疑者へ入札前に情報を伝えたとみられる。県警は、金銭の授受がなかったかなど、贈収賄の可能性も視野に捜査を進める方針。 県警は8日、町役場などを家宅捜索し、関係書類などを押収した。 町長の逮捕を受け、町役場で会見した中村義治副町長は「びっくりしている。町民の皆さまに多大なるご迷惑をおかけし、ただただおわびしかない」と述べた。 古庄容疑者は同町総務理事兼総務課長、副町長などを歴任し、09年の町長選で初当選し4期目。22年から県町村会長も務めている。