2018年に起きた富山市の奥田交番襲撃事件。殺害された警備員の妻が、富山県に対して起こした国家賠償請求訴訟は3年ぶりに公開で審理されました。12日は証人尋問が行われ、当時、交番からの通報を受けた通信指令官の男性は「通報から逮捕までの間に近隣住民に警告を出すのが困難だった」と話しました。 訴えを起こしているのは、殺害された警備員、中村信一さん(当時68)の妻です。 事件は2018年、立山町の元自衛官・島津慧大被告(28)が富山市の奥田交番に押し入り、男性警察官を殺害、奪った拳銃で警備員の中村さんを殺害したものです。 亡くなった中村さんの妻(2021年6月) 「なぜ主人が死ななければいけなかったのかということをこの裁判を通じて明らかにしたいと思って…」 ■富山県警の初動対応は、適切だったのか… 中村さんの妻は「県警の初動対応に問題があった」として、2021年6月、富山県に対して国家賠償請求訴訟を提訴。約2600万円を求め、真相の解明を訴えています。 裁判の争点は奥田交番にいた警察相談員が通報した午後2時7分から、中村さんが殺害された24分までの17分間、富山県警の初動対応が適切であったかどうかです。 ■原告側「県警は近隣住民への注意喚起を怠った」 原告側は、県警の通信指令課や現場の警察官が被告が拳銃を持って逃げている可能性が高いと認識していたにもかかわらず、近隣住民への注意喚起を怠ったと主張しています。 具体的には、パトカーのマイクや市の防災行政無線で住民に避難、警戒を呼び掛けるべきだったとしているのです。 ■被告側「危険認識できず、無線は呼びかけに使えない」 一方、被告側は、通報時の文言から中村さんや近隣住民に危険が切迫していたことは認識できなかったと反論。防災行政無線は事前申し込みが必要で当時の呼びかけには使えなかったなどとして請求の棄却を求めています。 ■「逮捕までの間に警告を出すのは困難だった」 双方の主張が出揃った形で、3年ぶりに公開で行われた裁判。12日は交番から通報を受けた県警通信指令課の当時の職員へ証人尋問が行われました。