フランスの科学者、トランプ政権批判で米が入国拒否 個人的な意見が携帯電話から発見される

フランスの科学者が、トランプ米大統領政権の研究政策を批判する個人的な意見が携帯電話から発見されたことを理由に、米国への入国が拒否されたことが波紋を広げている。 複数の米メディアによると、テキサス州ヒューストンで行われた会議に出席しようと今月渡米した氏名非公開の科学者が、入国審査で入国を拒否され、その後強制送還されたと伝えている。 フランス政府のパティスト高等教育・研究大臣によると、国立科学研究センターの任務で会議に出席しようとした科学者が、入国審査で無作為に電子機器のデータを調べられ、同僚や友人に送った個人的やメッセージの内容が問題視されたという。「意見の自由、自由な研究、そして学問の自由は、我々が誇りを持って守り続ける価値観です。私はすべてのフランスの研究者が法律を順守しながら、これらの価値に忠実であり続ける権利を擁護します」と述べ、米政府を批判した。 一方、米国土安全省は研究者が政治的信条を理由に入国を拒否されたという主張は明らかに誤りだと主張。「問題のフランス人研究者は、(米ニューメキシコ州にある)ロスアラモス研究所の機密情報を電子機器に保管していた。秘密保持契約に違反しており、許可なく持ち出し、隠そうとしたことを認めている」と、マクラフリン次官はX(旧ツイッター)に投稿している。 不法移民に厳しい措置を取るトランプ大統領の就任後、米国当局が入国時の審査で携帯電話やコンピューターなどの電子機器やSNSアカウントを無作為に調べるなど入国検査が強化されていることが伝えられている。テロや犯罪活動に対処するための捜索が必要だとしているものの、渡航者の権利侵害に当たるとの声も上がっている。 米ニューズウィークによると、英国とドイツはすでに米国への渡航を計画している自国民に対し、入国要件に従わなかった場合、逮捕または拘束される可能性があると警告していると報じている。ビザや入国免除プログラムが承認されていても、入国が保証されているわけではないと注意喚起する国が増えているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)

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