業績不振やホンダとの経営統合の白紙など、経営の不透明感を増す日産自動車。 3月11日、突如として月末で内田誠社長が退任し、4月から商品企画を担当するイヴァン・エスピノーサ氏が社長を務めると発表した。 カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、混乱の続いた日産をどう立て直すのか。次期社長が報道陣の取材に応じ、立て直しにかける思いを話した。 ■「どちらかというとCar Lover」 クルマにかける愛の深さを記者は感じた メキシコ出身のエスピノーサ次期社長。自身の父親も自動車関連のビジネスに携わっていて、根っからのCar Guy=クルマ好きだと言われている。 記者が「内田社長もあなたのことをCar Guy(クルマ好き)と言っていましたけど」と聞いたところ、「どちらかというとCar Lover。クルマを愛する者の方だ」と言ってのけた。 日産社内で聞いてみても、「彼はクルマが大好きだよ」という声をよく聞く。 愛車は日産の代名詞でもあるスポーツカー「フェアレディZ」。だが日本国内で乗っているのにも関わらず、愛車は左ハンドルだ。その理由について「日本で買うと納期が長く待たされる。でもお客様が第一だから『私を最初にして』なんて言えない。待ちきれないので、ほかに売ってくれるところはないかということで、カリフォルニアのディーラーに連絡して日本に送ってもらった」と楽しげに語った。 ここ最近の日産の経営トップのなかでも、クルマにかける愛が深いのは記者として大きく感じたところだ。 クルマへの愛の深いエスピノーサ次期社長だが、待ち受けている現実は非常に厳しい。 北米や中国での販売不振が響き、今期は800億円の最終赤字となる見通し。ホンダとの経営統合の協議も白紙となるなど、変革を求められる自動車産業のなかで出遅れてしまった印象がぬぐえない。 ■日産を立て直すための三つのキーワード 社内の混乱ぶりにも苦言を呈す エスピノーサ次期社長は立て直すためのキーワードが三つあると語った。